アズカバンの囚人、ホグワーツにて生徒やってます。【ハリポタ】 (ページ16)

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その囚人、虚ろ。ページ16

ｾﾌﾞ「Aっ……おい、しっかりしろっ…Aっっ！」

スネイプ先生が必死に俺の名を呼ぶ。

起きなくちゃ。

俺は重い瞼を挙げて、自分が呼吸を荒げて涙を流していることに気づいた。

スネイプ先生は少し安堵したように、俺の手首に手を当てて脈を測った。

『…っ…………』

俺はさっきまで見ていた夢を思い返した。

血の気が引く。

ｾﾌﾞ「…すまなかった。少し、行き過ぎた罰だったな。
……躯の具合はどうだ？」

心配そうなスネイプ先生は、俺の手を握って看病を始めた。

こんな顔をさせたかった訳じゃない。

俺が最後まで口を割らなかったのは、余命宣告されたなんて言えるわけがないからだ。

俺の最後の時を知ったら、きっとスネイプ先生は俺を助けようとするだろう。

あの程度の薬品でさえ、俺を必死に助けたのだから。

なおさら教えられない。危険な真似をさせるから、墓場まで持って行く秘密だ。

もう、俺のせいで誰かを失いたくない。

『…ん、…大…丈夫……』

酷く掠れた声で言った。感覚が麻痺しかけている。

ｾﾌﾞ「……明日までには治してやる。」

そう言って、スネイプ先生は俺に薬品を飲ませた。

冷たくて、熱く火照った躯には心地よかった。

ｾﾌﾞ「酷くうなされていたのだ。
よほど辛い記憶でも思い返したか？」

『…そ…だね。
妹…との……最後の…時…の記憶…』

スネイプ先生はそれ以上この事を追求しなかった。

かなりあまい拷問をしておきながら、罪悪感すら感じているらしい。

優しすぎて拷問執行者には向いていない。

ｾﾌﾞ「…なんでもいいのだ。
ただ…もう少し己の身を大切に任務をこなしてくれ…。
お前の笑顔は…酷く痛々しいのだ…。」

シビル先生にも同じ事を言われたっけな。

笑顔が痛々しい。なんて、仕方無いじゃん。

俺の精神はもう、元には戻らないよ。

俺はスネイプ先生の手を握り返して言った。

『…1年くらい…我慢…してよ……
そしたら……俺の笑顔……なんて……一生…見なくて…すむ……から……』

来年の1月下旬で終わる命だ。

スネイプ先生と話せなくなるのは残念だけど、お先に靖国で妹とくつろいでいるよ。

90歳くらいのスネイプ先生が来るのを、妹と一緒に待つよ。

ｾﾌﾞ「…馬鹿なことを言うな。
貸したゴミクズ(金)を返すのだろう？」

涙を溜めながら言われたら、俺は未練タラタラ妹に会うしかないじゃんよ。