アズカバンの囚人、ホグワーツにて生徒やってます。【ハリポタ】 (ページ15)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:93,938 hit

その囚人、罰。ページ15

酸素マスクをあてられた妹が病室の中央で安らかに寝息を立てている。

少し空いた窓から春の心地よい風が入る。

静かな病室には心電図の微かな機械音が響く。

俺はピンクのカーネーションを花瓶に入れて、飾った。

その時、いきなり病室の扉が開いた。

俺と妹に杖を向けた魔法省の者達だった。

「幹部5名殺害の容疑で拘束する。」

「アズカバン行きだ。」

何人もの魔法省の者が口を揃えて言う。

「そこに寝ているのは貴様の妹か。」

「我々の仲間を奪っておいて、自分は何一つ犠牲にしないつもりか。」

「…お前からも、奪ってやろう。」

40をこえる人数で妹に向かって魔法を唱える。

杖が光り、とうとう妹に攻撃される。

俺は叫んだ。無我夢中で叫び、拘束された魔法を振りほどこうと藻掻く。

一向に解ける気配がない拘束魔法と、放たれようとする攻撃魔法。

『やめろっ…それだけはやめてくれっ！
俺はどうなってもいいからっ！！…妹に罪は無いんだっ！！！』

「妹の医療費のために起こした事件だ。
つまり、貴様は自分の妹さえ殺害したことになる。」

「ほら、妹の最後の瞬間だ。
よく目に刻みつけておくといい。自分のせいで愛おしい者が砕け散る様を。」

妹の心電図は一瞬のうちに死亡の合図を示した。

俺の中の何かが砕け散り、精神が崩壊する音が聞こえた。

喉が潰れそうなくらい叫んで、妹の赤い眼鏡を握りこんだ。

弛緩した俺の躯を引きずって、魔法省は俺をアズカバンへ放り投げた。

俺はアズカバンへ送り込まれて1ヶ月くらい食事を吐いては食べる繰り返しだった。

看守の姿も声も、ディメンターのキスさえも何も感じなかった。

あらゆる感覚を失い、俺は虚ろな目でﾀﾋんだように時を過ごした。

嗚呼、思い出した。

これは俺がヴォルデモートにそそのかされて罪を犯した帰り、妹の病室に寄った時の記憶だ。