太陽と月と星5【神谷浩史】

優しい先輩。 ページ15

鈴「あ、Aちゃん」
『こんにちは社長！』
鈴「君の社長やないから」
『んー……あ、じゃあ健一くんおじさん』

長いな、と楽しそうに笑ってベンチを勧めてくれる。
笑い方が優しくて、やっぱり近所のよくお菓子をくれる良いおじさんって感じがする。

鈴「俺がいくら誘っても孝宏にプレゼンされても頑なにインテンションに入らんかったくせに。やっぱ潤には勝てないんか」
『今思うと結構失礼でしたね私。潤はなんなら幼馴染みたいな物ですからね、離れられないんです。どうしても』

答えに満足したように頷いて微笑む先輩。
さっき間違うて買っちゃって、とアイスコーヒーを差し出した。

『ありがとうございます』
鈴「こっちこそ。でも、孝宏は兄なんやろ？」
『孝宏兄さんはなんだかんだ言って私の背中を押してくれる人ですから』
鈴「ああ、それもそうやなぁ……そんなら浩史は？」
『肩を叩いてくれる人ですかね。落ち込んでいる時とか、間違えかけている時とか。健一くんはなんですかねぇ……手を引いてくれる人、でしょうか』

どこに向かえば良いのか分からない時とか、羅針盤みたいな人。
鈴村さんのいる方に行けば、自分のやるべき事が見えてくる

鈴「ありがたい事を……まぁAちゃんの手、触ったことないんやけどな」
『さわります？』
鈴「やめとくわ」

楽しければそれで。→←お父さん。

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