lemon (ページ9)

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続かないドレミのうたページ9

｢お前っていつも目死んでるよな。｣
｢挨拶の代わりにしてはひどくない？｣

俺がそう言えばAは表情ひとつ変えずにそう返してきた。無表情、淡々とした話し方だけどAは意外と情に厚いというか、律義だ。話さないわけじゃないけど聞き上手だと思うし。

｢何、ドンヒョク。｣
Hc｢別に、お前はあんま話さねぇなって思って。｣
｢話してるよ。今もそうでしょ。｣
Hc｢違ぇって。｣

こうやって分かっててはぐらかされるのってムカつくんだよなぁ。

Hc｢わかってんだろ、おまえ。｣

頬杖をつきながら吐き捨てれば、Aは読んでいた本のページを捲る手を止めてじっと、あの猫みたいに目で見てきた。

｢聞いて気持ちのいいもんじゃないよ。｣
Hc｢は？｣
｢それに秘密のひとつやふたつ、あった方がアイドルとしてはミステリアスでしょ？｣
Hc｢俺聞いてんのそういう意味じゃないんだけど。｣
｢そんなの知ってる。｣

またAが本のページを捲る。

｢ドンヒョクたちとはずっと友達でいたいから言わない。｣

小さく笑うAは同い年に見えないくらい、変に幼く見えて、胸がざわついた。

何かいきなり消えそうだ、こいつ。