君の声に恋してる JK × JK

13.音楽室 ページ13

．






テスト期間中の放課後







私は帰りに職員室へと向かう








すると音楽室の方から聞いたことのあるメロディーが微かに聞こえてくる








ピアノの音色に釣られるかのように足を運んで









開いていた音楽室の入口からその音を奏でる正体を覗くと








「・・・っ、」








なんとピアノを弾いていたのは



音楽の先生でも女子生徒でも無ければ









隣の席のグクくんだった







気配を感じたのか



グクくんが手を止めて振り向くと目を丸くしていて









「ごめん、邪魔して、」





グク「Aっ、」





「続けてくれる？聴きたいの。」





グク「・・じゃあこっちに来て。」





「っ、うん。」






一から弾き直してくれて



思い出したジャスティンのpurposeという曲







私は楽譜のないピアノの近くに立って



間近で彼の演奏する姿を食い入るように見つめた








．








一曲弾き終えると








「すごい、ピアノ弾けるんだね。」




グク「凄くないよ、それ化学のノート？」




「あ、そう提出が遅れて、


職員室に持って行く途中に聞こえてきたから、」





グク「俺もさっき出してきたもん。


Aはピアノ弾ける？」





「私は全く弾けない。」





グク「繰り返すところだけでいいから左手やってみて。」





「っえ、」








グクくんはそう言うと私の手首に少し触れて隣に座るよう誘導する





グク「こことここに指を置いて、」




「ここ？」




グク「そう、小指はここに。」









凄く距離が近くて



私の指に触れられるグクくんの手






なんだか急に顔が熱くなってきて








グク「ここ一緒に弾いたら次は隣のここ。」







合わせてグクくんの右手が動く







ドクドクと早まる心臓の音





私は恥ずかしくなって咄嗟に立ち上がる







「っ、ごめん、時間がないからもう行くね！」





グク「あっ、うん。」






私の耳や顔はきっと真っ赤で




それに気付かれたくなくてついた嘘








鞄を持って走って音楽室を出た






すると






ドンッ！！






「ごめんなさいっ、」





ぶつかってしまった相手は






テテ「大丈夫？！」





元彼のテテだった






すぐに分かった大好きだったテテの香りがふわっとして





私は鞄を抱き抱えるようにして走った






音楽室からAの置き忘れたノートを持って出てきたジョングクとテテが鉢合わせる

14.人見知りの僕等→←12.新一年生

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す