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「日本から来たの？」
「はい、え、でもなんで、」
「可愛いから」
照れくさい台詞を躊躇いもなく発し、笑顔をみせる。
言葉とは裏腹に嫌な予感がする。
「何飲む？」
「いや、私は、」
「これでいい？」
人の話きいてないし。
近くの卓上に置いてあった瓶を渡される。
「乾杯！」
「...」
「飲まないの？せっかくだから飲んでよ、」
不機嫌になり苛立ちをみせたので、ほんの少しだけ口にした。
「お姉さん、すごく綺麗だね。こんなに素敵な人初めて見たかもしれない」
「...ありがとうございます」
「ここは初めて？」
「いえ、前に来た事あります」
「あ、そうなんだー」
会場全体が音楽で満たされる中、会話を続ける。
雑談を繰り返しながら合間合間に飲み物を摂っていたからか、次第に頭がふわふわしてきた。
「大丈夫？ちょっと外出ようか？」
肩を抱かれ、引き寄せられる。
「や、あのっ...！」
手に力を込められ、顔を近づけられる。
抵抗しようにも、強くて押し返せない。
「唇、綺麗だね。食べたくなる」
顎を掴まれ、額がくっつきそうな程、距離を詰められる。
やだやだやだ、気持ち悪い。
お願い、離して。
「やめて、」
小さな声を振り絞って逆らうが、微かな望みもBGMの重厚音でかき消されてしまう。
どうにかして、引き剥がさないと、
こんな所で知らない人となんて絶対に嫌。
でも、力に勝てない。
声をあげようにも周囲にのまれるだけ。
このまま流されるしかないのかな。
そうだよね、私も一般人だし、
もう、誰が相手だっていいや。
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作者名：あぽ | 作成日時：2023年12月28日 5時
