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「どれにしよう」
今日はショッピングの日。
事前に調べておいたカフェでお昼を済ませ、ずっと行きたいと思っていたブティックに移動した。実は、これが来韓目的だったりする。話題の韓国コスメから最先端の洋服まで、色とりどりの品物が立ち並ぶ。
「あ、このリップ可愛い!」
黄金色の筒から紅色の芯を出す。
少し派手だけど、深みのある赤の中に艶やかさがあって、すごく綺麗で惹きつけられる。だけど、地味な私の顔には合わないか...
暫く眺めながら耽っていると、売り場にいた店員が話しかけてきた。
「そのリップ、可愛いですよね!」
「あっ、はい、でもちょっと派手かなって...」
「すごく似合うと思いますよー」
「んー、でも...」
「よかったら試してみますか?」
テスターの先端を削り、使い捨てブラシでその鮮明な赤を拭い取る。
「やっぱり!とっても似合いますよ!」
好感触な反応に、期待を膨らませて鏡で確認する。
「わ、ほんとだ...」
煌びやかな色は、予想以上に溶け込んでいた。
「そのままつけるだけだと浮いてしまうんですが、コットンとかでオフすると落ち着いて唇に馴染むようになってます。巷では、愛されるリップとして人気なんですよー」
自分なんかに似合うはずがないと思ってたけど、こういう付け方なら悪くないかも。
お店にあるのはこれが最後ですね、というダメ押しで買う決心をした。
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作者名:あぽ | 作成日時:2023年12月28日 5時