今日:15 hit、昨日:3 hit、合計:2,064 hit
小｜中｜大
26 ページ26
.
「着きましたよ」
「えっ...」
海がよく見える公園。
広大な海原が辺り一面を埋め尽くす。
その大画面の中にひっそりと佇むベンチに、誰かが座って景色を眺めていた。
後ろ姿からでも、分かるほどに、待ち望んでいた展開だった。
「先客がいたようですね」
ふっ、と苦笑いをする。
「では、僕はここで」
そう言って、後ろを向き、帰ってしまった。
その場に取り残される。
「...」
彼と私の間に距離はある。
静かに戻れば、気づかれないかもしれない。
でも、このままでいいの？
明日にはここを去ってしまう。
そうしたらきっとまた、いやもしかしたら二度と連絡する事もなくなる。
会う事も、声を聞く事も。
いや、私は彼の事を見続ける事はできる。
名前のないファンとして。
彼にとって好都合なのかもしれない。
一番大切にしているファンを悲しませる事もない。
それに、酷い事をされた。
棘のある言葉を投げられた。
たくさん、たくさん傷ついた。
言動に思い悩んで、眠れない日もあった。
受けたダメージを仕返したいと思った。
いつも平気で無敵な状態でいるから。
私だけがつらくて、悲しくて。
それでも、
あなたを嫌いになれない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あぽ | 作成日時：2023年12月28日 5時
