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どれくらいの時間が経ったんだろう。
一通り泣き終えたからか、心の中に溜まっていたものが消え、今の状況が五感を通して頭の中に入ってくる。
自分より高い体温に重たい手と腕が、異性と接しているという事実を明確にさせ、胸の高鳴りを隠せない。また、慰められているという状態が恥ずかしくなってきた。
ゆっくりと離れて、距離を取る。
顔が真っ赤なのは承知の上で、前を見据えた。
テテは少し驚いたような表情をした後、何かを受け入れたかのように穏やかな笑みを見せた。
私の口を手で覆い、その上からキスをする。
「もう無理矢理はしないって、決めてます」
思い出せば、初めてキスしたのはテテなんだよね。
「Aを悲しませたくないですから」
その言葉に、再び涙腺に水が溜まって零れ落ちる。
「っ、私、最低だよね、」
「今、幸せですか?」
「...」
「僕はいつでも待ってます、でも」
「うん」
「苦しんでいる姿をみるのは、すごくつらいし、もっとたくさん笑っていてほしい」
「...うん」
「笑顔をこれからもずっと見ていたい」
「...」
「一緒に幸せになりましょう」
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作者名:あぽ | 作成日時:2023年12月28日 5時