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「...」
「どうしたの?」
「グクには、」
勇気を出して尋ねる。
「付き合っている人がいるの?」
「...」
一瞬驚くように目を見開いた。
答えを聞くのが怖い、心の準備がままならないまま、返事はすぐだった。
「いません」
「...」
望んでいた正解を貰えたのに、心のもやもやが払拭できない。まだ答えの無い疑問点があるから。
親しげにしているあの女性は誰なの?
テテが言っていた事は嘘だったの?
「...本当に?」
「誰とも会ってません」
「メンバーは知ってるの...?」
「はい」
「でも、」
傷つきたくないという自己防衛が、相手を追い詰める。
「疑ってます?」
「いや、その」
「そっちはどうなの」
「...」
「僕には言えませんか?」
「...」
大きな溜息をつき、苛立ちを表すかのように頭を掻きながら視線を彼方に向ける。
そして
私の腕を掴み、ベッドの上に投げた。
両腕を押さえられ、覆い被さる。
上体を起こそうにも不可能だった。
「っ、離して」
見下ろす顔はあまりにも端正な出立ちで、言葉とは裏腹に胸の高鳴りを感じる。
片方の手で両腕を頭上で纏められ、空いた方の手で頬を撫でられる。触れるか触れないかの距離。
一瞬切ないような素振りをみせたかと思えば、眉間に皺を寄せて、険しい顔をする。
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作者名:あぽ | 作成日時:2023年12月28日 5時