12jk ページ12
.
聞きたい事は山ほどある。
でもそれ以上に膨らむ感情が爆発してしまいそうで、抑えるのに必死だった。
彼女を視界に入れたら、色々なものが込み上げるから。なるべく見ないようにする。
肘をついて外の夜景を眺める。
透明なガラス越しに映る光よりも、反射してみえる彼女の姿を無意識に捉えてしまう。
鏡に映る人形は下を向いて固まっていた。
普段なら待っていられるけど、心にゆとりがない今、そんな余裕はない。
椅子から立ち上がり、足早に出口へ向かう。
「、待って！」
その声に、足が止まる。
「ごめん、あの、何から話したらいいのかわからなくて」
「...」
「さっきは助けてくれて、本当にありがとう、グクが来てくれなかったら私、」
「ついていくつもりだった？」
「違う！いかないよ！」
「じゃあなんであそこにいたの？」
「それは、」
そんなの個人の自由に決まってる。
束縛する権利なんて無い。
どこで誰と何をしていようかなんて。
僕だって遊びに来ていたわけだし。
でも、許せる事と許せない事ってあるよね？
彼女の方に振り向き、少しずつ歩み寄り、顔から脚先までを視線でなぞっていく。
「いつもと雰囲気が違うね」
男を誘うようなひらひらとした短いスカート。
身体のラインがぴったり浮き出ているトップス。
彼女にゆっくり近づき、右手で頬を撫でる。
「唇真っ赤だよ、辛いものでも食べた？」
鼻で笑うように、意地悪気に放った。
表では愛されるリップって称されているけど、裏では絶対にキスできるリップって噂されてる。それをつけているという事は、今日誰かとキスする予定だったんだね。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あぽ | 作成日時：2023年12月28日 5時
