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一緒に乗り込み、宿泊する場所へ荷物を預けてから、ご所望の場所へ向かった。
「ここって、」
軽快な音楽に、遠くから微かに聞こえる黄色い叫び声、それと甘ったるいお菓子の匂い。
「...乗り物ダメでしたか?」
反応が気になったのか申し訳なさそうに、小さい声で尋ねてくる。
「ううん、とても面白そう!」
韓国の遊園地は、体験した事がない。
一度行ってみたいとは思っていたけど、なかなか機会に巡り合えずにいた。
「よかった!たくさん楽しみましょう」
お揃いのものを身につけて、バラエティ豊かな乗り物を堪能する。こんな風に時間や周囲を気にしないで遊ぶのは久々だな。自然と身体や心が軽くなる。
テテもすごく楽しそう、同じ気持ちなのかな。
待ち時間もお互い気遣う事なく、一緒にスマホで動画を見たり、会話を交わしたりしているうちに、空はあっという間に暗くなっていった。
「さむ、」
着込んできたものの、日が落ちた後の外の空気は想像以上に冷たい。寒さを誤魔化すように、両手を擦り合わせる。言動から察したのか、テテは首に巻いていたマフラーを外し、私にかける。
「大丈夫だって!風邪ひいちゃうよ」
「風邪ひきそうなのはそっちでしょ」
「そういう問題じゃ、」
「いいから」
大きめのマフラーをぐるぐると巻かれる。さっきまでつけていた人の良い匂いがして、ドキドキしてしまう。
「寒くなってきたからそろそろ帰ろっか」
「うん、そうだね」
「あ!」
「?」
「最後にもう一つだけ、いい?」
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作者名:あぽ | 作成日時:2023年12月28日 5時