149 今更何を言えばいいの ページ49
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JK「…ヌナ」
返事をしない私に、グクは私を呼んで。
グクの瞳を見ると、彼もそれ以上何も言わずに私の瞳をただただ見つめた。
お互いの瞳にお互いだけを写して。
それが一体どれぐらいの時間だったのかはもはやよく分からない。
たった10秒のことなのか、はたまた1分なのか。
JK「……俺、もう行かなきゃ」
その沈黙を破ったのはグク。
「うん。無理しないでね」
JK「分かってる」
グクはそれだけ言うと、また私の瞳をじっと見つめて。
JK「……ヌナ、今日俺の部屋に来て」
熱い瞳でそう告げた。
私はその瞳の熱さに、瞳の中で揺れてみせた不安に、うんともすんとも言えなくて。
JK「お願いヌナ。
…俺、聞きたいことも話したいこともたくさんあるんだよ」
すがるように私を見つめるグクを、震えるその声を、泣きそうに潤んだその瞳を前にして、私は結局頷くことしかできなかった。
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舞台裏からモニターで彼らを眺めて、けれど私の瞳はいつだってただ1人だけの姿をずっと追っていた。
最後のメントでARMYの歓声に堪えられずにポロポロ涙を溢した姿も、
コンサートを終えた後に舞台裏で溢した「舞台で何もできないなんて話になりますか?……でも仕方ない。これで満足しなきゃ」なんて自分に言い聞かせるように呟いた言葉も、
その全部がただただ私の心を締め付けて離さなくて。
今日の夜が来てしまうのが怖かった。
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そしてこんなときに私の脳内に浮かんだのは、「ヌナ」とその三白眼を細めて優しく私を見つめるテヒョンの姿だった。
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uk(プロフ) - 何度泣いたか分かりません・・・切ないです。。お休み中とのことでしたのでいつか公開されるのを待っています。素敵なお話をありがとうございます! (2020年10月7日 22時) (レス) id: 7eeed36c19 (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - hさん» hさんコメントありがとうございます!そんなに感情移入して頂いてるなんてこれ以上ないぐらい嬉しいです( ; ; )笑 拙い文章ですがそう言って頂けてもう涙涙です…決めてた結末に向けて頑張って書いていきますね!ありがとうございました(*^^*) (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - Kumiさん» Kumiさんいつもコメントありがとうございます!うわんなんて嬉しいお言葉…どっちとくっついても悔いがないなんて嬉しいです( ; ; )頑張って更新していきます! (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - 夏さん» 夏さんいつもコメントありがとうございます(*^^*)不器用なグクに素直になってほしいものです…!次で完結ですので是非最後でお付き合い頂ければ嬉しいです! (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - mgnさん» さすがすぎて何も言えませんが一言、愛してますとだけ伝えときます (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年5月7日 12時