137 穏やかな時間 ページ37
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あのあとテヒョンは、「とりあえずなんにせよ、ジョングクに俺たち付き合ってるわけじゃないよってちゃんと説明したほうがいいと思う」と眉毛を下げた。
私もそれに頷いて見せたけど、正直内心どうしたらいいか分からなかった。
今それをグクに告げたとして、「だからどうしたいの?」って思われる未来は目に見える。
私は未だに自分の気持ちがよく分からない。
気持ちの整理もついていない状態で、ああやって痛いぐらいに思いをぶつけてくれたグクに真っ正面に向き合う勇気がなかった。
それにグクは"好きだった"って言った。
過去形のそれが、余計私をこの場に踏み止まらせたのだった。
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「あ!ちょっとテヒョン!手危ない!」
TH「え?」
「玉ねぎ支える手はこうだよ!」
あれからもう3週間経って、けれど私は結局グクにテヒョンとの関係を訂正できないまま時間だけが過ぎた。
その間にもテヒョンは相変わらずこまめに時間を作っては私に会いにきてくれて。
ご飯を食べに連れて行ってくれたり、ドライブをしたり。
グクの言葉で、なんとなくあれからも家に誘うのは避けていたけど、私の気持ちを知ってるテヒョンがそれを無視して私に強引に触れたりしないという信頼があった。
だから最近はこうして、私の家で料理をテヒョンに教えてあげているのだけど。
「ああ…ひやひやする!指切らないでね!」
TH「……こう?」
「そう!今いい感じだよ!」
料理の入門といえば、カレーでしょ!と今日はカレーの作り方をテヒョンに教えているのだけど、なんせ包丁の使い方から危うくて私はずっとヒヤヒヤしていた。
けれど私の言葉に耳を傾けながら、慣れない包丁を一生懸命使うテヒョンが可愛くて癒されもした。
そうして四苦八苦しながら作ったカレーが出来て、2人で手を合わせる。
「あ、まって!コーラコーラ!」
TH「ふふ。ヌナ、ご飯中はお茶でいいよ」
「…それもそうか」
私の家の冷蔵庫を占めていたビールやお酒は、いつの間にかコーラやオレンジジュースに変わっていって。
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uk(プロフ) - 何度泣いたか分かりません・・・切ないです。。お休み中とのことでしたのでいつか公開されるのを待っています。素敵なお話をありがとうございます! (2020年10月7日 22時) (レス) id: 7eeed36c19 (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - hさん» hさんコメントありがとうございます!そんなに感情移入して頂いてるなんてこれ以上ないぐらい嬉しいです( ; ; )笑 拙い文章ですがそう言って頂けてもう涙涙です…決めてた結末に向けて頑張って書いていきますね!ありがとうございました(*^^*) (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - Kumiさん» Kumiさんいつもコメントありがとうございます!うわんなんて嬉しいお言葉…どっちとくっついても悔いがないなんて嬉しいです( ; ; )頑張って更新していきます! (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - 夏さん» 夏さんいつもコメントありがとうございます(*^^*)不器用なグクに素直になってほしいものです…!次で完結ですので是非最後でお付き合い頂ければ嬉しいです! (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - mgnさん» さすがすぎて何も言えませんが一言、愛してますとだけ伝えときます (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年5月7日 12時