144 その涙が心を抉る ページ44
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グクが怪我…?
さっきからそのことだけが脳内を巡って、私は何にも集中できない。
メイクスタッフのリーダーが舞台構成を確認するために私たちから離れてから、まだそんなに時間は経っていないというのに、私はさっきからずっといてもたってもいられなくて。
けれどただのメイクスタッフの1人の私にできることなんて何もなくて、1人でただ同じ場所を行ったり来たりしながらおろたえる。
グク泣いてないかな…
……いや、グクのことだから絶対自分を責めて泣いてるよね。
そう思うといてもたってもいられないのに、私に出来ることはないどころか今の状況すらよく分からなくて。
そもそも怪我ってどの程度の怪我なんだろうか。
舞台構成を変更しなきゃいけないほどの怪我って…
そう思いながら1人舞台裏の廊下をうろうろしていると、思わぬ人物に出くわして思わず駆け寄った。
「…っ、テヒョン!」
TH「あ、ヌナ…」
その顔にはさっきリハーサル中に見た笑顔も、活気もなくて。
「テヒョン…あの、…」
思わず駆け寄ったはいいものの、ただのスタッフの1人の私が全体から正式に知らされる前にこんなことを聞いてもいいのかと思い、思わず口籠る。
TH「…ジョングク、だよね?」
「あ、えっと…」
TH「さっき医療チームが来てくれて、今踵を縫ってるところだと思う」
「…え、踵を縫う?」
テヒョンの言葉に思考回路が止まる。
「え、縫うって、そんなにおっきな怪我なの…?」
TH「…舞台には出れるみたいだけど、ダンスはできない」
テヒョンから告げられた事の重大さに、思わず言葉を失って。
グクの泣き顔が、自分を責めて涙を流す姿が、脳裏に張り付いて離れなくて。
TH「……俺、なんかあの場にいられなくて」
「え?」
TH「…今から踵を縫うってなってジョングクが麻酔をかけられて、俺たちは当然部屋を出たんだけど…
扉越しに聞こえてくるジョングクの痛みに耐える声を聞いてると、なんかもういてもたってもいられなくて……」
テヒョンはまるで自分のことのように悲しみに顔を歪めて。
TH「とんでもなく痛いはずなのに、それなのにあいつ泣きそうな顔しながら『出来ます。俺踊れます』とか言うんだよ…」
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uk(プロフ) - 何度泣いたか分かりません・・・切ないです。。お休み中とのことでしたのでいつか公開されるのを待っています。素敵なお話をありがとうございます! (2020年10月7日 22時) (レス) id: 7eeed36c19 (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - hさん» hさんコメントありがとうございます!そんなに感情移入して頂いてるなんてこれ以上ないぐらい嬉しいです( ; ; )笑 拙い文章ですがそう言って頂けてもう涙涙です…決めてた結末に向けて頑張って書いていきますね!ありがとうございました(*^^*) (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - Kumiさん» Kumiさんいつもコメントありがとうございます!うわんなんて嬉しいお言葉…どっちとくっついても悔いがないなんて嬉しいです( ; ; )頑張って更新していきます! (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - 夏さん» 夏さんいつもコメントありがとうございます(*^^*)不器用なグクに素直になってほしいものです…!次で完結ですので是非最後でお付き合い頂ければ嬉しいです! (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - mgnさん» さすがすぎて何も言えませんが一言、愛してますとだけ伝えときます (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年5月7日 12時