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もう外は明るかった。
目が覚めたら涙が流れていて、胸は悲しみでいっぱいでまさにいつも通り。
けれどいつもと違うのは目が覚めて目の前にジョングクがいるということ。
すうすう寝息を立てて眠る彼。
その腕は未だに私を優しく抱きしめてくれていた。
張り裂けそうなほどの悲しみで溢れたこの胸に、少しの安心感と愛おしさが湧く。
命に代えても守りたいと思うぐらいの愛。
愛おしい彼の寝顔を見つめながら、夢の中の私とその恋人の男の子のことを考える。
私だったら好きな人が自分を守るためにその命を捨ててしまったとしたら、きっとその先生きていけないんじゃないかと思う。
顔も分からない夢の中の私の恋人のことを思った。
未だに止まらない涙を拭って、それを誤魔化すようにジョングクの胸の中に潜る。
するとジョングクは寝ぼけながらも私を抱いている腕にまた力を入れて、無意識に私を抱きしめてくれたからそれにも涙が溢れて止まらない。
JK「…………ん、ヌナ、起きたの?」
そうしていると、頭上から愛おしい彼の掠れた声が振ってきた。
「……うん、目が覚めちゃって」
泣いていることがバレないように、出来るだけ明るい声でそう言ったつもりだった。
JK「…泣いてる?」
「泣いてないよ」
JK「嘘だ、泣いてるでしょ」
ジョングクは私から少し身体を離して、私の顔を覗き込んだ。
JK「……どうしたの?」
「なんでもない」
JK「…また悲しい夢見たの?」
私の涙をその長い指で拭うジョングク。
………好き。
ほんとにほんとに心からジョングクが好き。
好きな人と永遠に離れ離れになるって一体どんな気持ちなんだろう。
「……好きな人を守るために自分の命を捨てちゃったとしてね、私はそれでよくっても残された人はどんな気持ちで生きていくんだろ…」
そんなに辛いことってあるだろうか。
夢の中の私の恋人のことを思って、
涙がまた溢れた。
私何言ってるんだろう…
ジョングクだって、突然寝起きでこんなことを言われてもきっと意味が分からないだろう。
言葉を漏らした後でそんなことを思って、ごめんなんでもないよって言おうと思ったけれど。
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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月31日 19時