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こんなにもジョングクのことが好きなのに。
ただ彼と一緒にいたい。
本当に、ただそれだけなのに。
どうして私たちはそれが許されないのだろう。
毎日、毎日毎日毎日思った。
国の姫、そんな大層な身分なんていらない。
煌びやかな衣装も、豪華な食事も私の世話をしてくれる召使いも、そんなもの何一つとして欲しくない。
だからお願い。
私がこの世でたった一つだけ望むもの。
ジョングク。
どうか、どうか彼と一緒にいさせてください。
けれど何回そう思ったって仕方ない。
これが私の運命なんだから。
そう頭では分かっているのに、心が追いつかない。
私は飽きもせずに毎日たくさんの涙を流して。
けれどジョングクに心配をかけてはいけないと彼の目の前では泣かないようにした。
私は彼のためにそんなことしかできない。
「ジョングク」
JK「ん？」
私の呼ぶ声に、まるで子どもをあやすかのように優しく返事をするジョングク。
彼の厚い胸の中から顔を出して、その大きな丸い目を見つめる。
大好きな綺麗なその瞳。
彼のその瞳に今だけは私だけを映してほしい。
ジョングクの頬を両手で包んで、そっと触れるだけのキスを落とす。
一度唇を離して彼の目を見つめると、彼は優しい瞳とその表情全てで私のことを愛してると伝えてくれた。
次のキスはジョングクからだった。
だんだんと深くなるキスと、部屋に響き渡るキスの水音と私たちの漏れる吐息。
彼の優しい手が、まるで宝物を抱くみたいに私に優しく触れるからそれにも涙がこぼれた。
JK「……A」
私の中にその熱を埋めて、気持ちよさそうに眉間にシワを寄せる彼。
普段は慣れないから恥ずかしいと言って私のことを姫様と呼ぶ彼だけど、私に触れる時は必ず私のことを名前で呼んだ。
こうやって私に触れるときぐらいは私たちの身分とかそんなものを忘れてただの1人の男として私に触れたい。
いつだったか彼が言った言葉を思い出す。
そんなことですらも今の私の涙腺を刺激するにはあまりにも充分で、私はまた涙を流しながら彼の優しい腕に包まれて意識を失った。
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作者名：ナノカ
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年3月31日 19時
