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「……え?今なんて?」

JK「一緒に逃げましょうって、そう言いました」







確かに彼のその言葉は聞こえていたけれど、意味が理解できなくてもう一度尋ねた。




彼は真剣な顔で真っ直ぐに私を捉える。









「逃げるってどうやって…」






そんなの無理だよ。

お父様のこの国でどうやって逃げるというの。







JK「…俺は、姫様を確実に逃がせる術もお金もそんなものなにも持ってない」






彼は顔を少し伏せて言葉を続ける。







JK「けど、だけど、

これ以上姫様が泣く姿は見たくないんだよ…」







言葉の最後にかけてだんだんと小さくなる声。

涙を必死に堪えたようなそんな涙混じりの声。








私が毎日ジョングクに隠れて泣いていること知ってたんだ…




自分が情けない。

彼にはバレないように、そう思っていたのに。







「…でもそれは、ジョングクのことまで危険に晒しちゃうことになるんだよ」






私、そんなことはできない。

そう言葉を続けようとしたけれど、





JK「俺のことなんていいんです。

姫様がいなきゃ生きてる意味なんてない」








さっき必死に堪えていたであろう涙がすっと一筋頬を伝うジョングク。






彼にとっての私。

私にとっての彼。






同じ気持ちでいる。




その事実が今こんなにも辛いなんて。







彼に言葉を返そうと思ってもそれができない。

あふれてくる涙が、それを邪魔した。







JK「………ごめん、俺かっこつけました」









どういうことなのか分からなかったけどそれを考える隙もなかった。




彼は少し強引にぐっと私の腕を引っ張ると、彼の胸の中に私を閉じ込めた。これまでにないぐらい強く強く私を抱きしめる彼の腕は、これまでにないぐらい震えていた。









JK「姫様が泣いてるのを見てられないなんて、かっこつけました。


…ほんとは、俺が姫様と離れたくない」








大きな沈黙を挟んだあと、その言葉をこぼしたジョングク。







彼の本音。






泣くのを必死に我慢した子どもみたいに、喉元から出てくる嗚咽を飲み込む彼。



けれど、私の肩をだんだん冷たくしていくそれが彼が泣いていることを物語っていた。









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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年3月31日 19時

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