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もちろん村人たちが大勢で私たちを見張っていたけど、その手から解放された私たちは小さな部屋の隅で身体を寄せ合った。






震える私をジョングクは強く抱きしめてくれた。








「……ごめん、ジョングク、ほんとにごめん」


JK「…謝らないでよ。姫様のせいじゃないよ」







彼はそう言ってくれたけど、私があんな言葉にのらなければこんなことにはならなかったのに。






涙が溢れそうになった。






JK「…大丈夫、大丈夫だよ」






ジョングクはそんな私をずっと抱きしめてくれた。








次の日になって、国の従者が大勢で私たちを引き取りにやってきた。当たり前だけど私とジョングクは離されて、手も自由にできないよう縄で縛られた。








そうして私たちは城に連れ帰られた。







私は国王である父上のもとに連れられて、ジョングクは他のところに連れて行かれた。









「…あっけなかったな」






父上は冷めた目でそう言った。








「今の気分はどうだ?」







さらにそんなことを付け加えて。






私は思わず黙り込んだ。









「何か言うことはないのか」







静かに私の言葉を待つ父上。

その目には怒りという言葉だけでは言い表せられない感情が秘められているのが分かった。







何か言うこと。






お願い、ジョングクと一緒になりたい。


彼と一緒に生きていきたい。


隣の国にお嫁にはいけない。






そんなことを考えて、思わず笑いがこぼれそうになる。









叶うわけが、ない。









言いたいことなんて何もない。







そう思ったけれど、






「…私は今後どうなっても構いません。

父上の仰ることに全て従います。それを覚悟した上での行動です」






分かっていた。

分かっていたの、私。






「…けれど、ジョングクだけは、彼のことだけは許してください。


彼はなにも、悪くないんです。

私が嫁ぎたくないあまりに、彼に無理を言って城から連れ出してもらっただけなんです」









お願い。ジョングクだけは、どうか。









「あいつは、じきに殺されるだろう」







父上は、息を吸い込んで、淡々とそう言った。







思考が一瞬にして止まる。







「……え?」







「当たり前だろう。

嫁入り前の大事な国の姫を連れだしたんだ。


お前たちが捕まる前からあいつの未来はもう決まっていたんだ」








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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年3月31日 19時

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