70 【JK】 ページ20
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遠い過去の記憶が一気にフラッシュバックする。
「私が守ってあげたいって思うのはジョングクだけなんだよ、愛でしょ?」
愛でしょ?なんて言って、なぜか少し自慢げに笑ってみせる姫様。
…なにこれ、俺こんなシーン夢で見たことないんだけど。
自分の脳内に一瞬映し出されたそのシーンは紛れもなく初めてみるもので、そんなことは今までにも数えられるほどしかなかったから少し驚く。
「私はね、ジョングクが世界で一番大切なの。
だから私が絶対ジョングクを守るからね」
あ、これはあれだ…
城から逃げ出した俺たちが捕まって俺が王様の命令で殺されそうになったとき。
姫様は力強い瞳で俺を見つめてそう言ってくれたっけ
一瞬にして脳内を占めたのは『俺を守りたい』と言ってくれた姫様の姿。
そしてそんな姫様の生まれ変わりである俺の目の前にいるこのヌナは、
「…私おかしいよね。
守りたいとか他の誰にも思ったことないのに。
ジョングクにだけだよ、こんな気持ちになるの」
涙を堪えている俺に気付かないふりをしてくれながら不思議そうにそう言った。
この人は生まれ変わっても、例え前世の記憶を思い出していなかったもしても、俺を守りたいって、そう思ってくれるんだ。
胸を占めるこの温かい感情。
堪えていた涙がすっと重力に沿って落ちていった。
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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月31日 19時