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グクの顔が見れない。
心配してきてくれたという気持ちを信じて、受け入れていいのかわからない。
寧ろ、迷惑をかけてしまっている自分が憎い。
「帰ります、」
「...」
これ以上、耐えられる自信がない。
汚い感情が渦巻いて、今よりもっと迷惑をかけてしまう。
「わかりました、少し待っててください」
出てきた場所に入り、すぐ戻ってきた。
「行きましょう」
「え？だって、まだ」
「終わりました」
どっちですか？と帰り道を尋ねる。
「...」
徐ろに足を進めた。
グクが後ろから駆け寄ってきて、二人横に並んで歩く。
私は、ずっと言葉を発せずにいた。
ごめんなさい、と謝るべき？
でもあんなの見せられて、上っ面だけの謝罪なんてボロが出るに決まってる。
寂しかったと素直に打ち明けたとしても、スターと一般市民。世界観が違う相手に、境遇をわかってくださいはおこがましい。
そもそも一緒にいられる事自体が奇跡なのに。
「A」
「...」
「A！」
「...」
「気をつけてください！」
「ぇ」
段差を踏み外して、大きく体勢を崩す。
「わ、」
転びそうになったところを助けてくれた。
「大丈夫ですか」
「ん、ありがとう、」
「...」
両腕を掴んだまま、真っ正面からみつめてくる。
「平気じゃないですよね、」
グクが、って言えたら。
「っ、」
言葉に出来ない想いが涙となって零れ落ちる。
その様子を見て、少し慌てながらも、大丈夫大丈夫と言ってくれた。
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作者名：あぽ | 作成日時：2023年7月7日 8時
