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彼女が腰掛けているソファの隙間に座り込む。
狭いよ、と苦笑いするA。
肩で小突いてみた。
「何？」
ちょっと不服そう。
「別に、ふふ、なんでもないです」
そう言うと、彼女も同じ動作をしてきた。
「仕返し」
意地になって、僕もやりかえす。
「痛いよ〜」
可愛い。
顔を斜めに傾け、見上げるようにみつめてみる。
照れたように目を逸らす。
ドキドキしてるのかな。
もっとドキドキさせたい。
僕を意識して。
今度は人差し指をかざしてみる。
どんな反応をするのかな。
恥ずかしがりながら、人差し指をくっつけてきた。
人差し指の先から熱が伝わってくる。
僕の想いもここから伝わってくれたら。
彼女の人差し指を中指で抑える。
負けじと親指で応戦してくるA。
「指相撲で僕に勝てると思ってるの？」
「うん」
角度を変えたりしながら、必死に対抗する。
それじゃあ、届かないよ。
動きをみて、指を次々と捕えていき、大きな手が彼女の手を包み込む。
「僕の勝ち」
「ちょっと、離してください」
離さない。もっと、触れていたい。
掴んだ手を口元にもっていき、見せつけるようにキスをする。
頬が紅く染まっていく。
可愛い。
「どうしたの？」
意地悪したくて、わざときいてみた。
「...なんでもない、離して」
彼女の指示通りに握っていた手を解放する。
僕から目線を逸らして、そっぽ向いてしまった。
やっぱり。
僕を見てくれないんだね。
立ち上がり、元にいた場所へ腰掛けた。
溜息をついて。
彼女はバツが悪そうに下を向いている。
「...」
「...」
「...私、帰るね」
「うん」
「...」
「...」
「帰らないの？」
「...」
どっちなんだよ〜。
「言ってくれなきゃ、わからないよ」
「...」
はっきりしない態度に煮え切らない僕は、また溜息をついて立ち上がり、ベッドへ移動した。
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作者名：あぽ | 作成日時：2023年7月7日 8時
