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「はぁ〜...」
行動力さえあれば、群衆の中に混ざって手を振る事もできた。駆け寄れば、もっと近くで見ることができた。でも、なんだかできなかった。
全くの他人って訳じゃないけど、いやでも向こうは超有名人で私は一般人だし。忘れられてるかもしれないし。自惚れるのはよくない。
空港内にまだたくさんの人がいたから、人気のない場所で捌けるのを待つ事にした。
外に配置された小さな駐輪場。
コンクリートで覆われていて、少し涼が取れる。
大きな駐輪場が別の場所に作られたからなのか、全く使われてないようだった。
ぽつんと配置された自販機に小銭を投入する。
今日は少しだけでもグクに会えたから良かったという考えと、気持ちを切り替えられない自分を往復していた。
ずっと、もやもやする。
時間が経っても押されなかった機械が、自動的に小銭を排出する。
「Hi」
暗いオーラを漂わせる私にかけられた声。
「大丈夫ですか?」
「!」
「こんなところで何してるんですか?」
「グク...」
今の今まで想いを馳せていた相手の登場に胸がはちきれそうになる。
「っ...」
「元気でしたか?」
「うん...」
「どうして泣きそうな顔してるの、」
「...」
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作者名:あぽ | 作成日時:2023年7月7日 8時