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「念のため、確認させてください」
終始笑顔のユンギヒョンがポケットから出したのは
僕の失くしたスマホだった
「あ、僕のスマホです!」
「顔認証を使ってロック解除の確認をします」
「ど、どうぞ」
それは確かに僕のスマホなんだけど、
なんかシンデレラの一場面を思い出してすごく緊張してきた
もし開かなかったらどうしよう
シンデレラもガラスの靴に足を入れるとき
こんな風に緊張したのかな
ユンギヒョンが差し出したスマホのロック画面は
いつもの僕のもの、バムの写真
そこに顔を近づけると、カチャリと小さな音をたててロックが開く
そしたらユンギヒョンは全部わかってたみたいに
ゆっくりと僕の前に跪いて
「お迎えにあがりました、城にて王女様がお待ちです」
そう言って歯茎を見せて笑った
王女様にもう一度会える
彼女に会えたら、お互いの名前を知るところから始めよう
それすら僕らはまだできていないのだから
僕はシンデレラじゃないから
僕の革靴はガラスの靴のように脱げなかったけど
ガラスの靴の代わりにスマホを残してしまったみたい
ワールドワイドハンサムのワールドワイドな肩幅のおかげで
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作者名:紫 | 作成日時:2022年9月6日 2時