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『悪い、キム。これを体育館裏の倉庫に返してきてくれないか？』
「はい、分かりました。」
あと少しで体育の授業が終わる。怪我のせいで授業を見学していた私は、先生にお願いされてカラーコーンを外の倉庫に直すように頼まれてしまった。
『それ片付けたらそのまま教室戻っていいぞ。』なんて言うから、断れるわけもなくカラーコーンを受け取った。
「…はあ。」
楽しそうに授業をしているみんなを背に私は体育館を出る。そのまま外の倉庫に辿り着くと同時にチャイムが鳴った。
「…よいしょっと。」
倉庫を開けてカラーコーンを直す。ホコリ臭い倉庫から急いで出て扉を閉めていると、急にダンッと横から大きな音がした。
「…っ、」
SA「あれ、案外元気そうじゃない。」
「…なんで、」
大きな音がしたのは、スア先輩が長い足で扉を蹴ったからだった。
SA「ねえ、消えろって何回言えばわかるの？」
「…っ、ぃ…」
スア先輩が私の髪の毛を掴んで思い切り引っ張る。ものすごい力で引かれた髪の毛は、プチプチと抜ける感覚がして一気に痛みが走る。
SA「私にこんなことされてるって、グクに話して満足した？」
「…ぇ、っ？」
ニッコリと微笑むスア先輩。グクに話して満足した？って私は一言もジョングク先輩には話してない。
ジョングク先輩に嫌いと言ってしまったあの日から、会ってもないのに。
SA「…ムカつくムカつくムカつく！！！！！」
「…やめて、！」
SA「うるせえんだよ！！！」
「…っ、ぃっ…」
私の髪の毛を掴んでいたスア先輩はヒステリックに叫ぶと、そのまま髪を引っ張りながら私をドアに押し付けた。
すると、この前コケて出来てしまった膝の怪我に靴のまま強い力でグリグリと踏みつけてきた。
「…ぁっ、い…！」
絆創膏が剥がれて、せっかく治りかけていたところがえぐれて血が垂れた。
SA「なんであんたなんかが…！！！！！」
「…っ、」
スア先輩が手を振り上げるから、ギュッと目を閉じて痛みに耐えようと覚悟をした。
でも、いつまで経ってもその痛みは襲ってこない。
ゆっくりと目を開けば、スア先輩の振り上げられた手はスア先輩の後ろから伸びてきた手によって掴まれていた。
「…っ…ジョングク、先輩…」
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作者名：ぴぴ
| 作成日時：2020年5月23日 16時
