062【JK】 ページ12
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Aの前ではあー。と大きなため息をつく。Aの答えを聞いて安心した。
「…先輩?」
JK「…いや、ごめん。なんでもないよ。」
Aが教室にいないと気付いて先にAの友達に声をかけていたのもヨンジュンだったし、この保健室でスアとのことを話していたのもヨンジュンだった。
だから、正直信じるつもりは1ミリもなかったんだけど、スアがふたりを見て、噂のお似合いカップルだと言っていたのが俺の頭の片隅にあって。
それがなかなか離れてくれなかったから、違うと知れて本当によかった。
JK「…A、今までなにされたか話せる?」
そうと決まれば問題はスアのことだ。話したくないかもしれないけど、Aの口から聞くしか方法がないから。
「……うん、あのね。」
そう言って話し出したA。全部が初めて知ることばかりで情けなかった。気づいてやれなかったことが、悔しかった。
JK「…ん、分かった。ありがとう。」
Aの話を聞いて、とりあえず担任にでも伝えなきゃな。なんて考えていたら、Aが俺の制服を掴んだ。
「…先輩、あのね。」
JK「うん?」
「……スア先輩のことは、誰にも言わないでほしいの。」
JK「え?」
Aのその言葉に、驚いて固まってしまう。言わないでほしいって、Aがこんな怪我をさせられたのに黙ったままでいろってこと?
JK「A、さすがにそれは…」
「分かってる、自分がされてきたことはすごく辛かったけど…」
JK「けど?」
「スア先輩は…ただただ純粋に、好きだったんだよ。」
その言葉に何も言えなくなる。スアが俺のことを好きだからやってしまった今回のこと。
「……スア先輩の気持ちは、本当だから。」
JK「だから、許すって…?」
俺の言葉にコクン、と頷くA。本当に、なんでそんな優しいかな。自分に散々怪我を負わせた相手を、わざわざ庇うなんて。
「前みたいに、ジョングク先輩とお話できるなら、私はそれだけで十分だよ…?」
JK「本当に、それでいいの?」
「…うん、いいの。」
そこまで言われたら、俺はもう何も言えなかった。
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作者名:ぴぴ | 作成日時:2020年5月23日 16時