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子葉 1 ページ7

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また年を重ね、学校に通い、Aは女学校に進学することになった。
家から通えるものの、死んだ旦那が何かを見計らって寮のお金も前々から払っていたらしい。

届いた、ハイカラな服に身を包み清霞のところに見せに行っては“あぁよかったな”と冷たく返され清霞がゆり江に怒られたのは言うまでも無い。



ドキドキな女学校であったが少しして友達はできた。
洋服を好んできている貿易会社のご令嬢だ。

今まで父の医書やゆり江が寝る前に聞かせてくれた恋多き男の話以外知らなかったAにとってそのご令嬢の話すメルヘンチックな御伽話に胸を弾ませていた。






「〜って話なのですよ。
わたくし、王子様と言ったら金髪の白馬に乗った高身長なはっきりとしたお顔だと思ってたのに残念でしたの」



『それは、本当に残念ですね。
その定義でいえば私の幼馴染は王子様かもしれません』



「Aさんの幼馴染といえば久堂清霞様ね!
やっぱり!二人は将来婚約するの?」



『えっ』






Aの中での清霞の立ち位置は兄でも、好きな人でもなく幼馴染...心を許せる数少ない人であった。
口数は少ないし、初めて作った料理はお世辞も言わずまずいというけど辛い時にはいつもそばにいてくれる存在であった。

だから、かっこいいなと思っても恋愛としては結び付かなかった。




そんな彼と婚約と言われてもピンとくるものがなかった。







「何よその顔。
これは他の女学校に通ってる方からお聞きしたんですけどね、清霞様に“お慕えもうしています”って伝えた方がいるみたいなの。そしたらね、なんて言ったと思う?」




『清霞のことだから、“興味ない”とかですか』



「さらっと殿方のことを名前だけで呼ぶなんて!
でも残念、清霞様は“俺はAを守らなければならないから恋愛などする気はない”って!
もう!愛されてる!」






キャーキャー叫ぶ彼女を横目にAは後ろからの視線が気になった。
後ろは壁である。そこから視線を注ぐことなどできない。

それなのにAは後ろから気持ち悪いほどの視線を感じていた。

子葉 2→←芽 2



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ちゃう(プロフ) - これからも楽しみにしてます!! (3月27日 23時) (レス) id: 0adbf4a2ec (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - ドストライクのストーリーです!更新楽しみにしています!! (5月14日 22時) (レス) id: 0375a1e5fd (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - すごく面白いです!これからも楽しみにしています (2023年3月30日 10時) (レス) id: f6e3990c6f (このIDを非表示/違反報告)
十六夜紅葉@斎藤一推し(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!! (2023年3月22日 14時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:cielo | 作成日時:2023年3月19日 15時

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