悲劇姫【わたしの幸せな結婚】 (ページ12)

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開花　３ページ12

外ではなく気を許した相手、しかも好意を抱いている相手に警戒することなんてなかった。

『いくら関係性が家族に近いからと言っても、そのような破廉恥な格好で未婚の女性の前の出てくるなど男としてあり得ません！』

清霞「っ〜だからと言って玉ねぎを投げなくてもいいだろ」

『こっち来ないで。』

ジリジリとAに近づいてくる清霞。
一つ間違えば、一発アウトというシーンである。もしこの場にゆり江がいたならば、おぼんで清霞は殴られている頃である。

清霞「結婚、するのか」

『あなたのご両親に命じられたら誰とでもする。
それ以外ならするつもりはない』

清霞「そう、か...」

まるで何もなかったようにお風呂に戻っていた。
何が何だかわからないAは、軍人の鍛えられた肉体美に体を熱らせていた。

胸に手を当ててみるとAの心臓はドキュンドキュンと脈を打ち続けていた。

一方、清霞はあのヤバい色をしたお風呂に口をへの字にして風呂に入っていた。
Aの父方の方の異能を使い自分のためだけにこの風呂を焚いた。その事実と先ほどのAの言葉、“あなたのご両親に命じられたら誰とでもする。”に思いを馳せていた。
清霞の考えで言うならば、自分の親が自分と結婚しろと言ったらAは自分と結婚すると言うことなのだ。

久堂家としてもAの父親である司の家系の血である“神津蓮”と母親である静世の家系の血である“橘”を引き継いでいるAは欲しい、欲しくないと言ったら欲しい。

今の若い子は知らないことが大きなってきたがどちらとも名家で異能も素晴らしいもの。その両方を引き継いでいるAのことを知ったら全員欲しいだろう。

それは、久堂家だって同じだ。

清霞は何か考えついたように立ち上がりお風呂を後にした。