悲劇姫【わたしの幸せな結婚】 (ページ11)

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開花　２ページ11

久堂家は、Aが大切だった。
だから、地位をなくした夫婦のために寄付やらなぜ殺されたのかも徹底的に調べた。

その結果、Aの橘家に代々続く異能力の才は持っていないと帝に伝えた。

それを噂程度で聞いたのだろう。

『落ちた名家ですが多少はできますよ。
代々続く異能は使えませんが...まぁ燃やしたお嬢様よりは有能かと』

清霞「A」

『お帰りなさいませ
お荷物預かります。』

清霞「あぁ」

『それでは__家の使いの方。
これからも仲良くしましょうね』

「ヒッァありがとございましたっ」

男は逃げるように、久堂家の門を抜けて行った。

清霞「__家の使いの者がどうかしたのか」

『清霞にお見合いの申し込みですって』

清霞「はぁ迷惑かけてすまない」

『お世話になっているので大丈夫。
お風呂の用意できてます』

清霞「ありがとう」

預かった荷物を片付けて、今度はお料理の仕上げにかかった。

Aは少々結婚について考えていた。結婚とは両家の利害一致をもとに結ばれる。親がおらず家のことなど何も考えなくてもいいAは結婚のことを考えたことは多くはなかった。
ただ、自分は久堂家のために身を焦がしても恩を返したいと言う気持ちだけがあった。

久堂家のためなら死ねる。自分は久堂家のためにあるのではないかと思うようになったのである。

そんなAだが、さきほどの件は少しこたえた。
胸の辺りがモヤモヤしていた。

たくさんのお伽話を読んできたAにはこの胸の痛みは恋だとぼんやりと気づいていた。

『久堂家に鳥を飛ばさないと』

清霞「そんないちいち連絡などしなくていい」

『いえ、そう言うお約束ですから』

清霞「そうか。」

一部の人から恐れられている二人だが本心はとても優しい人なのである。
特に二人の関係はお互いに必要不可欠なまでに至っていた。

風呂に入ろうとしている清霞は湯船の色を見て困惑していた。
本来ならば透き通った色をしているはずのお湯が緑に変色しているのだ。

清霞「A、風呂の湯どうした！」

『どんな格好で出ときとるねん！』

あのヤバい色をしたお風呂場におそれをなした清霞は腰にタオルを巻いたまま台所へとやってきたのである。それを見たAは思わず手に持っていた玉ねぎを投げた。

そして、見事に油断していた清霞のおでこに当たったのだ。