25.個人的な危機 ページ27
『えっとつまり……さっきのロキって人がソーさんに復讐するために異世界の軍隊を率いて地球に攻め入ろう、と。キューブを盗んだのはその異世界の住人に見返りとして渡すため。軍隊を連れてくるには大きくて安定した通路が必要なためにドイツでイリジウムを盗んだってことで大丈夫ですか?』
「ああ、完璧だよ」
「最初からそう手短に説明してくれたら俺だって寝てなかったのに」
一度収まっまた話にピーターが水を指す。
「さっきみんなで意見を出し合ってでた結論がこれなんだ、それに君は会議中に寝るし、それを開き直る!…恥ずかしいことはするな」
悪くなってしまった空気にソーは空の見えるガラス張りの壁のそばに行ってしまったし、当人のスティーブも「スタークを見てくる」と部屋を出ていってしまった。
「……なんだあいつ」
『ピーター。』
あなたのたしなめるような口調にピーターは肩を竦める。
『カップ片付けるの手伝って。』
「へいへい」
流しに着くと、あなたはピーターの頬を抓った。
「いでででで、おま、何すんだよ!」
『今回のはピーターが悪い!なんであんなこと言うのよ、彼のどこが気に入らないの?』
教えて、と手を取られると、ピーターはたじろぐものの、まさか「お前が好きだからあいつに嫉妬してる」なんて言えない。
「…べつになにも。あいつの髪型が気に入らないだけ」
『ふざけてないでちゃんと言って!吐くまで抓るから』
「いっでぇ!ちょっとタンマ、本気出してんじゃねぇかおま、おい!」
ここで吐いてしまったら何年も募らせた想いをこんな最悪のシチュエーションで暴露しなければならない。しかもこれは犯罪とも言える想いであって、もし言ったら確実に引かれるし、引かれなくてもこんなふうに触れ合うなんて事は無くなる可能性が大きい。
絶対言わないぞ、と心の中で何度も唱えていると、横をナターシャが通りかかった。
無線で誰かにロキだのハルクだのソーだの言っているが、このチャンスを逃してはいけないと思った。
「おっ、ふぉい!なはーふぁ、ふぁふへへふへ」
頬を抓られているせいでうまく言えないが、ナターシャは振り向いた。
「なにやってんのよあんた達…今はじゃれてる時間なんてないのよ?」
『な、何かあったんですか?』
「ロキの思惑がまたひとつわかったの、私たちを喧嘩させて仲間割れを起こそうとしてる。そして…それに乗じてハルクを目覚めさせようとしてる。スタークのラボに集まるわよ」
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マドレーヌ(プロフ) - とてもおもしろいです!!大変だとは思いますが更新頑張ってください!応援してますp(^_^)q (2021年7月19日 1時) (レス) id: 912a5780dc (このIDを非表示/違反報告)
死神(プロフ) - 楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2017年12月24日 7時) (レス) id: 123b92ed70 (このIDを非表示/違反報告)
影王琉那(プロフ) - ナターシャは、ブラック・ウィドーではなくブラック・ウィドウでは? (2016年11月30日 3時) (レス) id: 02f600d9b8 (このIDを非表示/違反報告)
目玉のおかん(プロフ) - リンゴ雨さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!更新はまばらですが応援よろしくお願いします。 (2016年8月18日 22時) (レス) id: ad0147821b (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ雨(プロフ) - うああ!この作品、すごく好きになました!更新、とても楽しみに待ってます!! (2016年8月18日 18時) (レス) id: c5d41596ff (このIDを非表示/違反報告)
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