本丸に犬が来た ページ1
困った
なにで困っているかって？
実は本丸に犬が住みついてるんです
麻呂眉があるし、茶色いから、柴犬かなーとは思っているんですが
生垣に挟まってるんだよ、そいつ
なに？太りすぎた？普通挟まんないよね？
なにがあったの？ねえ？
「ひめさま？どうかしましたか？」
「あ、五虎退。あのね…犬がですね…挟まっているんですよ…」
「ほんとうだ！犬さん…かわいそう…」
「だよねぇ…、そう言えば、虎くんは？」
「虎くんですか？…実は、高いところに虎くんが登っちゃって、降りられなくなったんです」
「…なるほど、それで倉庫にきたのか」
「はい、梯子がないかなーと」
「梯子なら、三の倉庫だよ」
「ありがとうございます！…犬さん、大丈夫でしょうか…」
「五虎退の虎が挟まった時はどうしてるの？」
「…挟まったことがないので、わかりません…すみません」
「ま。そりゃそうか」
だよな、普通挟まんないよな、おい、柴犬、でてこい
「あんた、なにやってるんだ」
「お、切国」
「桔梗さん！…どうしたの、それ」
「堀川も。いやー、なんというか。その…」
「新しい修行か？」
「多分違う」
「拙僧もやってみるとするか…」
「やめて、シュールすぎる」
「兄弟、生垣に挟まるのはちょっと…」
「この柴犬、なんで挟まってるんだか…」
「…抜いてやればいいんじゃないか」
「抜くときさ、チクチクってしそうじゃない？」
「それもまた修行！犬にそのような心があるとは…関心関心！拙僧も負けてられぬ。山籠りの許可を！」
「いいよ。…えーっと、どっちの山？」
「北にある山だな！滝がたくさんあった故！」
「わかった。風邪ひかないようにね」
「まって兄弟！お弁当作るよ！」
「兄弟、俺も行く」
「いってらっしゃーい。…困ったな、この犬どうしようか…」
「ワン！」
「なにがしたいんですかね、こいつ…」
「ワンワン！」
「…鳴狐ー！！！お供の狐って今いるー！！？？」
「どうかなさいましたか？姫君様！」
「あ、狐」
「キツネに、何か用？」
「犬の言葉って、わかる？」
「ううん…そればっかりはなんとも…というかどうしたのです？この犬…」
「そのだね、挟まってるんだよ」
「その犬はたしか…鯰尾殿が餌をあげていましたよ」
「わかった！ちょっと聞いてくる！ごめんね畑当番中だったのに！」
「平気」
「じゃ、ちょっと行ってくる！」
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作者名：シャボン玉 | 作成日時：2020年3月24日 12時
