ドブカスの初恋には女装癖があるらしい。【呪術廻戦】 (ページ4)

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「……っ、あ…お早う御座います、、A様…」

部屋の戸を開いて廊下に出ると、通りすがった侍女がまるで化け物でも見たかのように肩をビクつかせて、震えた声でボクに挨拶をした。

『……智代さん、お早う御座います』

それに対してボクも侍女の名前を呼んで挨拶したら、智代さんはボクと目を合わせることなく頭を下げてそそくさとその場を離れていった。

中庭に出ると、陽菜さんと八重さんがボクから距離を取るように遠巻きに歩いていく。

『ふふっ、あからさまに距離取りますやん。智代さんは挨拶してくれたんに…』

ボクが一歩踏み出すと、陽菜さんと八重さんは逃げるように一歩後ずさる。

『……陽菜さん、八重さん、お早う御座います』

そう言って微笑むと、二人は怯えたように俯きながらボクの横を通り過ぎていった。

『ったく……ボクが何したって言うんや』

ーーー

「Aさん、お早う御座います」

『あ、蘭太くん。お早う』

蘭太くんはボクが挨拶すると、すぐにその整った顔を綻ばせた。

「Aさん、今日の着物も似合ってますね。」

『ほんま？ありがとう』

そう言ってボクが微笑むと、懐に入れておいた携帯に着信が掛かってきた。

画面を見ると、禪院を出ていった真希ちゃんである事が表示されている。

「？」

『ん、……ちょっと外すわ』

「はい」

蘭太くんに背を向けて、廊下に出てから電話を取る。

『真希ちゃん！』

「Aさん！」

『久しぶりやね、元気やった？』

「ああ、おかげさまでなんとか」

『そう、それやったらいいんよ…んで、どうしたん？』

「それなんだけど…悟がAさんに用があるとかなんとか言ってて、私から連絡しようってなってさ」

『ああ、そういうことね…ええよ、いつ頃とかあるん？』

「なるべく早い方がいいとは言ってたかな」

『分かった、今日行けそうやったら……うん、そうやね。じゃあ夕方くらい。』

「ああ、分かった」

『そんじゃ、また後で』