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「なんだ…これ…」


無意識に開いたまま塞がらない口から驚嘆の声が漏れる。
目の前には乳白色の巨体が宙を浮いていた。
翡翠の単眼は虚空に覆われ、側頭部から伸びた両腕は自在に稼動し、先刻まで里香を封じていた。
見た目はただの大きな人形なのに、尋常ではないほどの威圧感がある。


「神様」

「かみさま…?」


その人形を"神様"と呼ぶ少女は、真っ直ぐな眼差しで乙骨の目を射抜いた。
その瞳は、心なしか彼女の言う"神様"の瞳とどこか似通っているように感じた。


「ってな感じで、彼のことがだーい好きな里香ちゃんに呪われてる乙骨憂太君でーす。皆よろしくー!!」

「憂太に攻撃すると里香ちゃんの呪いが発動したりしなかったり。なんにせよ皆気を付けてねー!!」

「気を付けてねー!!じゃねえよ。Aがいなきゃやられてたわ。もっと早く言えこのクソ野郎!」


真希のいうことも最もである。
まさか被呪者を呪術高専に通わせるだなんて前代未聞であるのだから。
万が一高専内で呪霊が顕現するなんてことになれば想像しただけでも恐ろしい。


「まあまあ、コイツらA以外反抗期だから僕がちゃっちゃと紹介するね」

「(この先生が悪い気がする…)」


話題を無理矢理変えるように五条は順に一年生の紹介を始めた。


「呪具使い 禪院真希。呪いを祓える特別な武具を扱うよ」

「……」

「呪言師 狗巻棘。おにぎりの具しか語彙がないから会話頑張って」

「こんぶ」

「パンダ」

「パンダだ、よろしく頼む」

「最後に絡繰使い 枸雅A。さっき見た通り絡繰人形を扱う」

「よろしくね」

「とまぁこんな感じ」

「(一番欲しい説明がなかった…)ん、あれ?さっきの…」


五条の紹介を経て彼らとの対面のやっとのことで果たしたが、乙骨は紹介の最後に出てきた彼女のこと…正確には彼女の絡繰についてふと気がついた。
ついさっきまでそこにいたはずの巨体が忽然と姿を消していたのだ。
思えば先刻里香が出てきた際も気づいたら目の前にいたことを思い出す。
神出鬼没という言葉が相応しいが如くあれは突然現れ消えた。
キョロと教室内を見渡す乙骨に気がついたのか、彼女は控えめに声をかけた。


「玖吼理のこと?」

「えっ、くくり、ってあの白い…?さっきまでいたよね…?」

「うん、ちょっと大きいからね。さっき仕舞ったよ」


仕舞った…?
平然と口にする彼女の言葉がいまいち理解できない。
これ以上質問攻めにもできず、乙骨は悶々と疑問を抱きながら口を噤んだ。

2話 神は来たりて→←・



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作者名:にる | 作成日時:2021年2月10日 1時

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