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東京 新宿、Aが配置されている場所とはまた別の地点。
五条悟は複数の呪詛師を前に夏油の姿が見えないことを思案していた。
「(あの目立ちたがりが前線に出てこない?京都の方か?ならなにかしら連絡があるだろ)」
「五条さん!!報告が…どうされました?」
「いや、なんでもない。どうした?」
「こんな時にとは思いますが早い方がいいかと、以前調査を依頼された乙骨の件です」
顎に手を添えて考えを巡らせていた五条に伊地知が声をかけ、以前頼まれていた乙骨の調査結果を耳打ちで伝える。
その内容を聞いた五条の顔つきが変わった。
「パンダ!!棘!!」
「どうし…」
「質問禁止!!今から二人を呪術高専に送る」
「はあ!??」
「夏油は今高専にいる、絶対、多分、間違いない」
「どっちだよ!!!」
問答無用で二人を掴み、囲うようにぐるりを呪印を地面に施す。
「勘が当たれば憂太と真希二人死ぬ!!」
「!!」
「僕もあの異人を片づけたらすぐ行く。悪いが死守だ!!」
返事を聞くことなく問答無用でパンッと両手を打ち鳴らす。
死守だなんて、自分でも性格が悪いと五条は思う。
自分の親友を相手にしろという意味で言う言葉じゃない、それを承知の上で言うのだから。
二人は顔を見合わせ、それぞれ力強く返事をした。
ああ、自分の生徒は本当に仲間思いだ。
そして彼奴もそうだった、でなければこうはならなかっただろう。
彼奴はこの子たちを殺せるだろうか。
返ってくるはずもない答えを信頼してしまうのは自分の我儘。
バシュと地面ごと二人の姿が消える。
今頃はもう高専の真上だ。
立ちはだかる異人を前に目を覆う包帯を解く。
今は目に映る全てが煩わしい。
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作者名:にる | 作成日時:2021年2月10日 1時