無限大の希望を..Ⅲ (ページ4)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:30,820 hit

■１００ページ4

.

立って会釈をすると
同じように返してくれたその人は、
それなら、と言わんばかりに

staff「もう少し待たせてもいい？ちょっと打ち合わせさせて」

と、少し奥のテーブルに足を向けた。

スタッフさんに
了承の返事をした今市さんが、
続けて入ってきた人に挨拶をしていた。

隆『あ、お疲れ様です。』

哲『お、さっきはありがとね。忙しいのに来てくれて』

隆『いえ、こちらこそお邪魔しました』

、、、哲也さんだ。

スタッフさんの言う打ち合わせの相手は
SECONDの店長、哲也さん。

別に、全然おかしなことじゃない。

今市さんはさっきまで
スタッフさんとSECONDに居て、
そのスタッフさんの打ち合わせ相手が
哲也さんなのは自然なこと。

何とも言えない焦りで
久しぶりにうるさい我が心臓。

落ち着け。

座るタイミングを失って、
キョロキョロしていると
哲也さんと目が合った。

今、私の存在に気が付いた哲也さんは
わかりやすく驚いた顔をした後、
すぐに大きく息を吐いたのがわかった。

ただ挨拶をすればいいだけなのに、
なかなか声に出せずにいると
先に哲也さんが声をかけてくれた。

哲『久しぶりだね、元気だった？』

てっきりこんにちはとか、
お疲れ様とか、
打ち合わせ待ちの第三者もいるから
状況的にスルーとかもありえると思ってたのに。

知り合いであること、
会っていた過去があることを
隠す素振りもなく、そう言った。

A「はい、、」

そう返事するのが精一杯だったけど、
哲也さんはそっと肩を下して
しっかりと私の目を見て良かったと呟いた。

その視線が今市さんに向けられ

哲『ごめん今市、もう少し待ってて』

と言うと、
横をすり抜け奥のテーブルへと着いた哲也さん。

哲也さんが横を通った時に
香った懐かしい匂いに
胸がいっぱいになる。

忘れていたあの日を
一瞬にして思い出す。

隆『Aちゃんはまだ時間ある？なにか甘いもっ』

A「すいませんっ、もう休憩終わっちゃうんで失礼します、、！」

そんなつもりは全くなかったのに、

急に揺れ出した視界に、
思わずカフェを飛び出した。

.