無限大の希望を..Ⅲ (ページ16)

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□ケンチSIDE.

ケ『おはようございます』

staff「おはようございます。早いですね」

ケ『うん、ちょっとね、早く目が覚めて』

打ち上げから二日後。

朝から取材で事務所へ。

昨日1日オフだったけど
ずっと気になっていたのは哲也のこと。

マネージャーに連れていかれて、
結局その日は戻って来なかった。

そのまま各自解散して、
連絡もないまま今日顔を合わせる。

前日がオフだったからなのか、
気になっていたからなのか、

早く目が覚めて集合時間よりかなり前に事務所に着いた。

ガチャ

てっきり一番乗りだと思っていたのに。

すぐにメンバーの背中が目に入った。

確かに集合時間には遅れないし早い方だけど、
いつもと違うのは
その背中が振り向かないこと。

ケ『哲也、』

まるで入ってきたことに
気が付いていなかったかのように
ハッとした表情で振り向いた哲也。

哲『あ、ケンチ～、おはよう』

いつもと同じ喋り口調だけど、
顔色が悪い。

くまもひどくて無精ひげもそのまま、、

早いね、と
いつものように隅に置いてある
空の紙コップを取りに行きコーヒーを淹れてくれる。。

哲『あ、ごめん、今日コーヒーないんだった、』

ケ『、、珍しいじゃん』

哲『忘れちゃってさー、』

コトンと紙コップを戻す姿が
とても寂しそうで、、

だからなのか、なんだか小さく見えた。

哲也の前に腰を下ろして気が付いた。

ケ『あれ？哲也、その服、、』

哲『、、、うん、』

あの、打ち上げの日と同じ洋服。

ケ『、、、帰ってないの？』

哲『そう、』

ケ『、、、そっか』

哲也の表情は優れなくて、
ずっと携帯を強く握りしめていた。

どう声を掛けたらいいのかわからなかったのは、
何か良くないことがあったからと感じたから。

哲『あのさ、、、ケンチ、、』

沈黙を破ったのは哲也の方で、
顔を上げ目が合った瞬間に俺は頷いた。

ケ『うん、大丈夫。聞くから』

ギュッと強く噛み締めていた口元が
すぐに緩んで、

哲也は重い口を開いた。

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