君のとなり【江口拓也】 (ページ8)

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8. 優しさページ8

。

公園からマンションまで走りっぱなし、、

「翔ちゃん！危ないから！走っちゃダメ！」

追いかけるものの

、、疲れた、、、さすがに歳を感じる。。

やっとマンションの敷地内に着いた

暑い、、

汗が流れる

膝に手をつき呼吸を整え、持っていたうちわを扇ぐ

運動不足か、、ジム行かなきゃな、、

と、響く子供の泣き声

「、、翔ちゃん！？」

見通しのいいマンション前

少し先には翔ちゃんと、、あれは、

この距離からでも分かる長身

止まらない泣き声

「翔ちゃん！」

ーー

「ありがとうございます、アイス貰ったうえに、翔ちゃんのワガママで、、」

「いや、こんなに可愛くお願いされちゃあね(笑)」

笑いながら翔ちゃんの頭を撫でる江口さん

初めて会った時も手伝ってくれたし、優しい人だなぁ

「椎名さんのお子さん、ですか？」

「え！？あ、違います(笑)友達の子なんですけど、今日だけ見て貰えないかって言われて」

「あぁ、そうだったんですね、すいません。」

「いえいえ、もう家庭を持っててもおかしくない歳ですから、お気になさらず、、」

ほんと、歳を感じるね。

「それにしても、暑いですね、」

「ほんとですよね、、翔ちゃん暑くない？大丈夫？」

持っているうちわを向けて扇ぐ

うんうんと頷く翔ちゃん

「Aも食べる？」

とアイスを差し出してきた

「ううん、翔ちゃん食べていいよ」

「、、じゃあ、食べる？」

と言って次に江口さんに差し出した

「お！ありがとう」

少しだけ齧る

嬉しそうににんまり笑う翔ちゃん

「名前、呼び捨てで呼ばれてるんですね(笑)」

「そうなんです、お母さんのマネして。あれこれ言ったんですけど治らなくて(笑)要くんっていうお兄ちゃんもいるんですけど、2人揃って呼び捨てです(笑)」

「仲良しなんですね(笑)」

ーー

エレベーターの別れ際

翔ちゃんを抱きかかえ

「ほら、バイバイして」と言うと

「、、名前なに？」

と小声で聞いてくる

「江口さんだよ」

エレベーターが閉まらないよう押さえてくれている彼を見ながら

「江口さんバイバイ」

と照れくさそうに手の振りも添えて翔ちゃんが呟く

「江口さんて(笑)、、拓也でいいよ！またね！」

優しい笑顔で手を振る江口さんを乗せたエレベーターが上へ上がっていく

「良かったね、翔ちゃん」

「うん！、、た、く、や、」

確認するようゆっくりと声に出す

「言った通り、優しいお兄さんだったでしょ？」

「うん！」

翔ちゃんが幸せそうに笑う

。