06話 ページ6
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残穢は思ったより追いやすくて、米花町郊外で呪霊が見つかった。
ここなら人通りもないし、祓いやすい場所だ。
その意図をくんでか、私についてきた伊地知が速やかに帳を下ろそうとしてくれた。
「ああ、帳は私が下ろして祓ってくるよ。
伊地知にはちょっと頼みたいことがあって…いい?」
「は、はい。Aさんの頼みなら何でも。」
「普段から五条にこき使われてるからって、そんなに警戒しないでよ。
さっきの安室透って男のことを調べてくれる?
ついでに江戸川コナンって子が窓かどうかも。」
「わ、分かりました。」
伊地知はおどおどした様子だったけど、私の指示に従ってくれるみたいだ。
五条なんかの補助監督を担当しているから、伊地知が振り回されていつか過労死しそうで怖い。
まあ、私もそんな伊地知をこき使おうとしてると言えば否定は出来ないんだけど…ね。
「さてと、祓いますかー。」
目を閉じて、軽く深呼吸をする。
そして帳を下ろすために呪文を唱える。
「闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え。」
辺りにあっという間に帳が下りて、これで非呪術師への被害は免れるだろう。
サクッと呪霊を祓って、五条の元にでも行ってあの少年が何者なのか見解を聞かなければならない。
それに上に提出する報告書も作成しなければいけない。
「ぁあぁアゥァゥぁ」
「私、あんたの相手してるほど暇じゃないの。
だから
自分でも冷酷だと自覚するくらい低い声が出た。
非呪術師であっても、2人の人間がこの呪霊に関わって殺されている。
だからか、私は虫の居所が悪いのだ。
今回は特別。
一瞬で払ってやろうではないか。
「五条、借りるよ。 "術式順転 蒼"」
左目が澄み渡った宝石のように青く輝いた次の瞬間、目の前にいたはずの呪霊は形すら残さず塵となった。
2人も喰らった呪霊を痛めつけずに祓ってしまったのは失敗だったか。
呪霊に優しさなんてみせず、痛めつけてからじっくり呪具で祓うべきだった。
フラフラと立ちくらみを感じる中、私はそんなことを考えていた。
「やっぱ最強さんの術式を借りるのはリスキーだな……。
呪力の消費が激しすぎる。」
帳が無事に上がって行く様を見ながら、独り言をこぼした。
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銀華(プロフ) - ryeさん» 教えていただきありがとうございます🙇♂️入力ミスです。訂正させていただきます。 (2022年7月5日 13時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
銀華(プロフ) - 美月さん» コメントありがとうございます。警察学校時代のお話は番外編か、本編の後々に書けたら良いなと思っております。少しお時間頂戴してしまうかもしれませんが、楽しみにして頂けたら幸いです☺️ (2022年7月5日 13時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
rye(プロフ) - 9話の降谷さんの所属、警察庁が警視庁になってます。 (2022年7月5日 10時) (レス) @page9 id: 6f680e21b1 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - めっちゃ面白い!この小説の面白さを伝えるためにコメント欄に登場しました!警察学校組との絡みができてきたので、警察学校時代の物語も知りたいです! (2022年7月2日 9時) (レス) @page37 id: c0ec2f5f77 (このIDを非表示/違反報告)
銀華(プロフ) - 悠華さん» コメントありがとうございます。警察学校組とはあと2、3話くらいで少し絡みをもたせることができるかな~と考えております!もう少しお待ちいただけると幸いです🙇♂️ (2022年6月23日 15時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銀華 | 作成日時:2021年12月24日 0時