42話 ページ42
・
伏黒恵side
・
"これ以上強くなることはできない"
その言葉は俺を苛立たせるのに十分だった。
「俺は呪術師です。
たとえ、不平等だとしても人を助けるために強くならないといけないんです。」
「……虎杖くんを失って、心に空いた穴を埋めるための道具に特訓を使うなよ。
伏黒くんも釘崎さんも、焦って特訓してるだけで成果はたかが知れてる。」
図星を突かれた気がした。
でも、俺は私情で虎杖を救ったその責任を負わなければならない。
だから、強くなるしかない。焦って何が悪い。
虎杖のような善人が死ぬこの呪術界で、この人は腐らずに芯のあるままいられるのか。
「Aさんは………なんで強くいられるんですか。」
「私は、
この組織にいる限り、私自身を見失えば簡単に上層部に消される。
だから私らしく強くあろうとしてるの。
でもね、多くの呪術師の死は辛い。
癒えない悲しみと上手く付き合うような方法を見つけるのも、呪術師を続けていくために必要なことだよ、若者たち。」
不器用でも、がむしゃらにこの人は呪術界を生きている。
俺は。俺だって、Aさんのようになりたい。
「私たちの手からこぼれ落ちて行く命をできるだけ減らして、非呪術師も呪術師もが平和で幸せに暮らせる世界を私は目指してる。
伏黒くん、釘崎さん。
あなたたちに強さを教えることが、私の目指すものの実現に必要だと思うから、手は抜かない。
本気でついてきて。」
「お願いします。」
それからは、本気の特訓が始まった。
五条先生の同期で特級呪術師。
その肩書きは伊達ではない。
「伏黒くんは間合いの詰め方が下手。
釘崎さんさフィジカルが劣るから速さを極めて。」
的確な指摘に俺や釘崎だけに留まらず、2年の先輩方も特訓に参加し、激しさが増す。
一通りの手ほどきを受け、全員がAさんと手合わせをしたが誰一人として敵わず。
「チートかよ。術式も使ってないのに傷一つもつけられないなんて。」
「真希…失礼しちゃうなぁ。
五条の教え子に重傷を負わせたら、怒られるから術式無しで戦ったのにさ。」
術式に頼らず、この強さ。
俺はまだAさんの足元にも及ばない。
術式を使ったら、一体どれほどの強さを秘めているんだ。
「Aさんの術式って何ですか…?」
「伏黒くんさ、それ聞く?」
俺の質問に心底嫌そうな顔をこぼした。
・
・
2266人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
銀華(プロフ) - ryeさん» 教えていただきありがとうございます🙇♂️入力ミスです。訂正させていただきます。 (2022年7月5日 13時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
銀華(プロフ) - 美月さん» コメントありがとうございます。警察学校時代のお話は番外編か、本編の後々に書けたら良いなと思っております。少しお時間頂戴してしまうかもしれませんが、楽しみにして頂けたら幸いです☺️ (2022年7月5日 13時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
rye(プロフ) - 9話の降谷さんの所属、警察庁が警視庁になってます。 (2022年7月5日 10時) (レス) @page9 id: 6f680e21b1 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - めっちゃ面白い!この小説の面白さを伝えるためにコメント欄に登場しました!警察学校組との絡みができてきたので、警察学校時代の物語も知りたいです! (2022年7月2日 9時) (レス) @page37 id: c0ec2f5f77 (このIDを非表示/違反報告)
銀華(プロフ) - 悠華さん» コメントありがとうございます。警察学校組とはあと2、3話くらいで少し絡みをもたせることができるかな~と考えております!もう少しお待ちいただけると幸いです🙇♂️ (2022年6月23日 15時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:銀華 | 作成日時:2021年12月24日 0時