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具体的に何をすればいいかなんて決めてこなかった自分を呪った。
でも例え何をするか決めて来たところで、今日は授業なんて出来なかったはず。
この店の店員ならスムーズだっただろう。
でも相手はジョングクなのだ。
布を隔てた向こう側の店内は普通の白い天井だったのに、この空間だけ天井がガラス張りになっている事に気付いたのはパタパタと何かがぶつかる音がしたからだ。
上を見上げて音の正体が雨だとまた気付く。
「雨降って来ましたね」
上を見上げてジョングクが呟いた。
継続してパタパタ落ちる雨粒は次第に強くなっているように感じる。
'そうですね'と返事を返した私はここに来た時より多少冷静さを取り戻してるようだ。
降らない予報だったのに、と半ば恨めしい気持ちで見上げたままの私に'先生'なんて馴染みのない単語が飛んできて我にかえる。
「いや、あのー…先生はちょっと恐れ多い気が」
思わず訂正する。
「でも日本語教えてくれる訳だし、先生って呼ぶのがいいかなって」
「いやでも先生って呼ばれる程の者じゃないっていうか…」
そこまで話すとジョングクが目を少し見開いて何か閃いたように'あぁ'と小さく呟いた後、更に少し小さい声で
「せんせいの、なまえは、なんですか？」
忙しい百面相の後でゆっくりとした日本語を口にした。
思い出しながら話したのかジョングクの右手の人差し指が何もない宙をユラユラと揺れていた。
自分の名前を口にする事がこんなにも緊張する瞬間はない。
私が名前を発するのを待つジョングクに抗える訳もなく、ひと呼吸開いた後で
「A、です」
と短く答える。
雨の音は強くなってきているのに、不思議とジョングクの声は鮮明に聞こえる。
日本語で'はい'と答え頷いたジョングクの宙を揺れていた指が止まる。
「A、さん」
名前を呼ばれて心臓に悪いと思うのもこの瞬間より他はないだろう。
だから黙って頷く事しかできないのは私だけじゃない。
きっと他の誰でもこうなるはずだ。
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かむ(プロフ) - aishinさん» 初めまして。いえ、こちらこそ読んで頂きありがとうございます。良かったらまた何度でも見に来てくださいねㅎㅎ (2月17日 21時) (
レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
aishin(プロフ) - かむさんはじめまして 素敵なお話ありがとうございます。一気に読みました。ジョングクの不器用で優しいそして何より一途な魅力全開の作品です💕これからも応援してます (2月17日 12時) (レス) @page24 id: 2f5b0c03f1 (このIDを非表示/違反報告)
かむ - senra1003さん» ありがとうございます(；ω；) (2月12日 19時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
senra1003(プロフ) - 最高です（т-т） (2月12日 1時) (レス) @page47 id: bf42e69a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かむ
| 作成日時：2024年2月7日 22時
