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アイスコーヒーの中の大きめの氷が溶けて小さくガラスが鳴る音が聞こえた。
それが鮮明に聞こえるくらいここは静かで、布を隔てた向こう側ではゆったりとしたジャズのBGMが流れていたはずなのに嘘の様。

バッグの中から日本語の本を取り出す時、ジョングクはテーブルを挟んだ向こう側の椅子にゆっくりと腰を下ろした。
ジョングクの香水の匂いが少し近くなる。

お互い無言のままだがそれでいい。
授業をしに来た者とそれを受ける者。
それ以上でもそれ以下でもない。
それ以外でもない。

だからアイスコーヒーを一口飲んで本を開く。
私のその行動を待ってか偶然か。
タイミング良く'ヌナ'とジョングクが先に沈黙を破る。


「ちょっとお願いがあるんですけど」


テーブルの上にあるジョングクの両手の親指同士がくるくると落ち着きなく動いている。

それが気になりつつも'お願い?'と返すと少し上目遣いで私を見ながら頷いたジョングクの親指の動きが止まる。


「こないだはしょうがなかったと思うんですけど、このぎこちないこの雰囲気、何とかしたいんですよ」


ハキハキと言い切るジョングクが'だから'と続ける。


「ヌナも僕も敬語やめちゃダメ、ですか?」


どんなお願いかと思いきやー
授業の事じゃなかったからか自分の肩から少し気が抜けた。

わざわざ改まって言う事でもなかった気もするが、年齢差を考えれば理解出来なくもない。
それにジョングク本人がそうする事で少しでも意欲的に授業に臨めるなら幸いだ。


「じゃあ、今からお互い敬語は無しで」


実際にそう口に出してみたら良い意味でまた気が抜けた感じがした。

私の言葉にジョングクが安心したように大きな目を細めて微笑む。
不安定だった二本の親指からも力が抜けて見えた。

お互い少しずつ近づけたらいいと思う。
勿論それは恋愛の意味ではなくて課外授業をする上で必要ならば、という意味だ。
私もジョングクを変に意識しなくて済む。

そう、変に意識しなくて済む、?

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設定タグ:防弾少年団 , ジョングク , bts   
作品ジャンル:恋愛
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かむ(プロフ) - aishinさん» 初めまして。いえ、こちらこそ読んで頂きありがとうございます。良かったらまた何度でも見に来てくださいねㅎㅎ (2月17日 21時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
aishin(プロフ) - かむさんはじめまして 素敵なお話ありがとうございます。一気に読みました。ジョングクの不器用で優しいそして何より一途な魅力全開の作品です💕これからも応援してます (2月17日 12時) (レス) @page24 id: 2f5b0c03f1 (このIDを非表示/違反報告)
かむ - senra1003さん» ありがとうございます(;ω;) (2月12日 19時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
senra1003(プロフ) - 最高です(т-т) (2月12日 1時) (レス) @page47 id: bf42e69a0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かむ | 作成日時:2024年2月7日 22時

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