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わざわざ髪を巻いたりなんて事はしない。
でも前回よりは確実にマシに見えるのは美容室のおかげだ。
土壇場で決めた美容院だったけれど当たりだった。

所々マーカーでラインを引いた日本語の本はバッグの中に入ってるしタブレットも入れた。
それにまた天気が悪くなりそうで、折りたたみ傘も入っている。

前回はカフェの店員がビニール傘をくれて、何とか帰れたがまた同じ事を繰り返すわけにはいかない。

そういえばジョングクはどうやって帰ったんだろう…
あの時私と同じで傘を持ってないと言ったジョングク。
誰かが車で迎えに来たのだろうか。
それとも私と同じ様に店員が傘を渡したのだろうか。
もう過ぎた事だけれど今更気になって、店員がくれた傘を手にした。
勿論、今日返す為。

もし今日もジョングクが傘を持っていなかったら、私が折りたたみを傘を貸しても構わないし、店員に返す予定のこの傘をジョングクが使ってもいい。
何故だかそう思う。

肌寒い灰色の空の中、手配したタクシーに乗り込み二度目のあのカフェへ向かう。



:



:



:
「いらっしゃいませ」


ドアを開けると前回同様、同じ店員がその言葉と共に私に小さく会釈をした。
今日も店内に人の姿はーーない。

私も小さく会釈を返した後で手にしていたビニール傘を'あの'と言いつつカウンターの店員に見える様少し上げて見せる。


「傘、ありがとうございました。返さなくていいっておっしゃってたのは分かってるんですけど、やっぱり申し訳ない気がして、」


店員は'あ…'と少し戸惑いの表情を見せつつも、カウンターから出て来ると私の手から傘を受け取った。
でもすぐに柔らかい微笑んで


「ジョングクさんにお返ししておきますね。あ、それからジョングクさん奥でお待ちですよ」


'お飲み物だけおっしゃって下さい'と続けて傘を持ったままカウンターにまた戻った。

え、ジョングクに返しておく…?
ジョングクが待っている…
想定外の情報と想定内の情報が同時に入って来た上に、飲み物まで選ばなきゃいけなくて混乱しつつもとりあえず


「、アイスコーヒー、で」


とだけ残して淡いベージュの布に向かう。

'ジョングクさんにお返ししておきますね'
店員の言葉を冷静に受け止められたのとほぼ同時に淡いベージュの布が勝手に開いた。

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設定タグ:防弾少年団 , ジョングク , bts   
作品ジャンル:恋愛
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かむ(プロフ) - aishinさん» 初めまして。いえ、こちらこそ読んで頂きありがとうございます。良かったらまた何度でも見に来てくださいねㅎㅎ (2月17日 21時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
aishin(プロフ) - かむさんはじめまして 素敵なお話ありがとうございます。一気に読みました。ジョングクの不器用で優しいそして何より一途な魅力全開の作品です💕これからも応援してます (2月17日 12時) (レス) @page24 id: 2f5b0c03f1 (このIDを非表示/違反報告)
かむ - senra1003さん» ありがとうございます(;ω;) (2月12日 19時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
senra1003(プロフ) - 最高です(т-т) (2月12日 1時) (レス) @page47 id: bf42e69a0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かむ | 作成日時:2024年2月7日 22時

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