試しの門 カナリアside ページ4
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「……ここが門です。出るにはここを開ける必要があります。」
開けられるわけが無い。そう分かっているけれど連れて来た。
さっきから話を聞いているが、全くもって理解できない……空から落ちてこの敷地に入った?そんなの、有り得るわけが無い……
嘘をつくなら、もっとマシな嘘をつくはず。こんな分かりやすいことは無いはずでしょう。
なのにこの女は、自分もわかってない、とでも言いそうな瞳で私に色々なことを問い掛けてくる。
当事者は貴女でしょう?!と怒鳴りたいが、必死に抑える。
女から何歩か離れたところで観察する。
高い門を「はぇ〜」なんて呑気な声を出しながら見上げている。馬鹿なのか、何なのか分からないけど、何かあれば私だけでも十分対処可能、そう思っていた。
ゴゴゴ……と重い音を立てて、門が開いたのだ。
片手で、4と書かれた門までを。
『うわ、めっちゃ重い……両手でやった方が楽だったかな……』
「……嘘でしょう」
飄々とした顔を、私に向けてくる。
『なんか閉まっちゃったけど、開けっぱに出来たらもっと便利じゃないの?まあいっか、案内ありがとうね』
そう言って、女は消えていった。
私はその場から動けない。
たったの片手で、4までの門を開いたというの?
両手だったら、どうなってた??
頭の中で思考がグルグルと回る。
キルア様がここを出てからてんやわんやしているなか、またこんな奇妙なことが起こった。
「報告、しなければ……」
そういえば、あの女から全くオーラが出ていなかった。
木の葉の音が大きくて、怪しかったから警戒に行った。そうしたらあの女がいたのだ。
完全に気配を消すことが出来ている。そして、試しの門も片手で簡単に開いた。
只者では無い、私にはあの女を計り知れなかった。
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作者名:成海 なるせ | 作成日時:2024年1月13日 15時