Stray Sheep２

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《 Jungkook 》









テヒョンさんと別れてから、Aヌナの気落ち具合は目に余るものだった。









仕事中は暇さえあればぼーっとしているし、時折鼻を啜っている姿もよく見かける。









それほど彼女の心に棲みついたテヒョンさんは手強かった。









テヒョンさんが俺たちの前に現れたあの夜、本当はAヌナを食事に誘うつもりだった。









無理しなくていいとは言ったものの、俺だって傷心のヌナを気遣うばかりじゃなくて、少しは自分をアピールしたかったのだ。









それなのに。









「手離せよ、ジョングク」









そこへテヒョンさんが颯爽とやってきて、呆気なくAヌナを連れて行ってしまった。









その時、俺は気付いていた。









彼に手を引かれるAヌナの表情が心なしか嬉しそうだったこと。









それを見てしまって、きっと二人はこの後復縁するんだなって。









俺の悪あがきは何も意味を成さなかったんだなって。









しかし、あろうことかテヒョンさんはAヌナの手を掴まなかった。









結局二人は別れてしまったのだ。









それ以来、また毎日のように涙を流すようになったAヌナ。









テヒョンさんは馬鹿だ。









とんでもなく愚か者だ。









事態を紛らわしくしたのは確かにこの俺だけど、この期に及んでヌナの手を取らなかった彼に俺はひどく失望した。









もう遠慮なんてしない。気持ちに制限をかけるのも、もうやめてやる。









テヒョンさんのせいで泣いているAヌナを見るのはもう嫌だった。









今度こそ、自分の手で好きな人を笑顔にさせたいんだ。









 

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