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テヒョンはまるでその存在を確かめるかのようにぎゅうと力を込めて私の体を抱きしめた。
『テ…ヒョン…』
「…怖いんだ」
テヒョンはぽつりと言った。
「言葉にしたら、何もかも消えてしまう気がして…」
『……』
「Aを失うのが、怖い…すごく…怖い」
テヒョンの声はひどく震えていた。
どうして私はテヒョンの苦しみに気付いてあげられなかったんだろう。
いつも自分ばかりが傷付いている気がして、ひどく惨めで、そんな扱いが気に入らなくて、テヒョンは元々そういう人なんだって決めつけて、彼の本当の姿を見ようとしていなかった。
でも、実際は私よりもテヒョンの方がはるかに苦しい時間を過ごしてきたんだ。
体を離してテヒョンの顔を見上げれば、彼の目は不安げに揺れていて、今にもこぼれそうな涙をいっぱいに溜めていた。
どうしたら私は彼の不安を取り除いてあげられるだろうか。
冷えてしまった彼の頬にそっと手を添えると、テヒョンは目を瞑って私の手に擦り寄ってくる。
そんな彼のことが愛おしくてたまらなかった。
『…大好きだよ、テヒョン』
「……」
『神様に誓って、もう絶対にテヒョンの側を離れたりしない』
「A…」
『だから…テヒョンの本当の気持ちが聞きたいの』
私の言葉を聞いたテヒョンは困ったように眉を下げて、勢いよく鼻をずるずると啜る。
場の雰囲気にまったくそぐわない行動だけれど、テヒョンらしいと言えばテヒョンらしい。
テヒョンは口を真一文字にきゅっと結んで、じっと私のことを見つめる。
そして、指を一本一本絡めとるように私の手をそっと握った。
「A…」
『……』
「…愛してるよ」
彼の声はぞくっとするほど低く、それでいて優しかった。
じんわりと温かい言葉が胸に染みていく。
嬉しくて、嬉しくて、たまらない。
「私も…だよ」
彼の体にそっと抱きつけば、トクントクンと心地よい心臓の音が鼓膜を揺らす。
テヒョンはそんな私の背中に手を回して優しく抱き寄せた。
二人の隙間がなくなって、ゆっくりと体温が溶けるように混ざり合っていく。
それは幸せなのにどこか切なくて、言葉に言い表せない不思議な感覚だった。
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hatakekakashi84(プロフ) - おもしろかったです！Twitterフォローしたのでお願いします！ (2021年12月31日 19時) (
レス) @page48 id: fe6888fa87 (このIDを非表示/違反報告)
タナ(プロフ) - 一気に読ませて頂きました。最高でした。素敵な時間をありがとうございました！ (2021年3月14日 20時) (レス) id: 13f7b09681 (このIDを非表示/違反報告)
かむり - 最高です…！！！ (2019年12月8日 14時) (レス) id: d90aae6f87 (このIDを非表示/違反報告)
Yellow8938(プロフ) - こんにちは続きがめちゃくちゃ楽しみに待ってますTwitterフォローさせて頂きましたよろしくお願いしますいつも素敵なお話ありがとうございます (2019年11月11日 13時) (レス) id: fb4a224a7d (このIDを非表示/違反報告)
カフェ猫 - ヤバイです！めっちゃドキドキします！続き楽しみにしてます〜!!! (2019年10月13日 12時) (レス) id: baaac411fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kasu
| 作成日時：2019年9月22日 23時
