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ホソクさんイチオシのチキンヌードルスープ(至って普通のタッカルグクスだった)を食べ終え、しばらくするとジョングクくんがトイレに立った。
大人しく彼の帰りを待っていると、いつかのまったく同じシチュエーションが思い出された。
あの時、私の向かいに座っていたのはテヒョンで、二人で夜中にラーメンを食べにきて、こんな時間に食べたら太っちゃうねなんて言って笑い合って。
食べ終わったあと、トイレに立ったテヒョンがテーブルの上に置いていった携帯。
見るつもりはなかったけれど、通知によって明るくなった画面につい反応してしまった。
"今夜会える?"
確かそんな内容だった気がする。
トイレから戻ったテヒョンは何気なく携帯の画面を見て一瞬動きを止め、ゆっくりと画面から目を離して言った。
"ごめん、今日は帰るね"
その日は家に帰って一晩中泣きじゃくった。
当時のことを思い出してじわりと視界が滲み、慌てて紙ナプキンを目頭に当てる。
一人になるとこうやってすぐにテヒョンのことを思い出してしまう。
まったく情けなくてやっていられない。
しばらくして向かいの席に人が座る気配を感じて顔を上げれば、なんとそこに座っていたのはジョングクくんではなくホソクさんだった。
『び、びっくりした…』
「あはは、ごめんね驚かせて」
『あ、いえ…』
ホソクさんはテーブルから身を乗り出して私に顔を近づける。
「ところで、Aちゃんってジョングクの彼女?」
『え?いえ、違います』
「ふうん…でも多分ジョングクはAちゃんのこと好きだよね」
『……』
否定も肯定もできずに思わず黙り込むと、ホソクさんは腕を組んで何かを考える素振りを見せる。
「ジョングクは好きだけどAちゃんは好きじゃないパターンか…」
『えっ、いや、そんなことは』
鋭すぎるホソクさんに慌ててふためいていると、彼は組んでいた腕を解いてまたにっこり笑った。
「うそうそ冗談!ジョングクが家族以外の前で笑ってるの見たの久しぶりだったからつい嬉しくって」
『へ?』
思わず間の抜けた声で尋ねると、ホソクさんはとても優しい顔でジョングクくんのことを語り始めた。
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hatakekakashi84(プロフ) - おもしろかったです!Twitterフォローしたのでお願いします! (2021年12月31日 19時) (レス) @page48 id: fe6888fa87 (このIDを非表示/違反報告)
タナ(プロフ) - 一気に読ませて頂きました。最高でした。素敵な時間をありがとうございました! (2021年3月14日 20時) (レス) id: 13f7b09681 (このIDを非表示/違反報告)
かむり - 最高です…!!! (2019年12月8日 14時) (レス) id: d90aae6f87 (このIDを非表示/違反報告)
Yellow8938(プロフ) - こんにちは続きがめちゃくちゃ楽しみに待ってますTwitterフォローさせて頂きましたよろしくお願いしますいつも素敵なお話ありがとうございます (2019年11月11日 13時) (レス) id: fb4a224a7d (このIDを非表示/違反報告)
カフェ猫 - ヤバイです!めっちゃドキドキします!続き楽しみにしてます〜!!! (2019年10月13日 12時) (レス) id: baaac411fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kasu | 作成日時:2019年9月22日 23時