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テヒョンは私の答えに少し考え込んでから、なにやら複雑な面持ちで口を開いた。









「でも、ジョングクがこの前Aのマンションにいたんだよ」

『…へ?』









私のマンションにジョングクくんがいた?一体何の話?









自宅でジョングクくんと会ったことなんてない。









テヒョンの話と自分の記憶がまったく噛み合わず、私は混乱した。









テヒョンはさらに続ける。









「俺がAに仕事を休ませた日、帰り際にエントランスの前でジョングクに会ったんだ」

『え…』

「アイツ、友達のお見舞いに行くって言ってた。…それってAのことじゃないの?」









私を見るテヒョンの瞳は、疑念や不安など様々な感情で揺れていた。









あの日、ジョングクくんは私に会いに来なかった。









それなのに、どうしてジョングクくんは私のマンションにいたのだろうか。









そもそも、本当に私のためだったのだろうか。









「…そうですよ」









突然後ろで声がして振り返ると、ジョングクくんが廊下の奥から姿を現した。









「ヒョンの言う通りです。あの日、俺はAヌナに会いにマンションに行きました」

『な、なんで…』









ジョングクくんは私を見て、寂しげに目を伏せる。









「でも、結局会いに行けなかったんです。…ヌナの彼氏がヒョンだって知ったから」

『……』









どうしてそんなふうに切ない顔をするの?









ジョングクくんがそんな顔をする理由が知りたい反面、なぜだか知るのが怖い気もする。









「…ごめんなさい、テヒョンイヒョン」

「…やめろ」

「でも、やっぱり俺は…Aヌナのことが」

「やめろっつってんだろ!」









テヒョンがジョングクくんを怒鳴りつけた。









私たちを取り囲む空気が一瞬にして凍りつく。









「…それ以上言うな」









テヒョンの言葉通り、ジョングクくんはしばらく何も言わなかった。









それから、ふうと小さく息を吐いて顔を上げる。









「…僕、今日は先に帰りますね。また会社で会いましょう」









ジョングクくんはそのままゆっくりと体の向きを変え、来た道を帰っていく。









その後ろ姿にかける言葉なんて、どこを探しても見つからなかった。









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のあ - とてもおもしろいです、続き待ってます! (2019年9月11日 7時) (レス) id: 87b0b31a0f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - すごく面白い展開になってて続きが楽しみです! これからも読ませていただきます!! (2019年7月25日 17時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - とてもお気に入りです!! 迷惑かもしれませんが続きお願いします! (2019年7月20日 19時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
たまたま - 三角関係ぽい小説、今まであまり好きじゃなかったけど、このお話は凄く続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 11b0bd599c (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 主人公ちゃん、自惚れちゃっていいんですよね!!!!!?テヒョン、、頑張れ!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: d2b1c04faa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kasu | 作成日時:2019年6月30日 17時

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