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会議室に飛び込んできた人物を見て、私は目を見開いた。
嘘だ。ありえない。そんな言葉が頭の中をぐるぐると回っていた。
なぜならそこにいるのが、私の恋人であるキムテヒョンだったからだ。
「キムテヒョン!お前って奴は!」
「ごめんナムジュニヒョン、寝坊しちゃった」
テヒョンはまるで反省していない様子でナムジュンさんを軽くあしらい、それから私たちの方に視線を移す。
その瞬間、彼は案の定これでもかというほど大きく目を見開いた。
「えっ、どうしてAとジョングクがここにいるの?」
Aとジョングク?
まさかテヒョンの口からジョングクくんの名前が出てくるとは思っていなくて驚いた。
しかも、呼び捨てにしているあたり、かなり親しい間柄だと伺える。
一体何がどうなっているのだろうか。
「二人とも彼と知り合い?」
『えっと…知り合いというか…』
ジンさんの質問に言葉を濁しながら、チラリとテヒョンの目を見る。
この場で関係を明かすのは気まずい空気になる気がしたので、誤魔化してほしいという意図だったのだが、空気の読めない男キムテヒョンはきょとんとした顔で首を傾げた。
「知り合いも何も、Aは俺の…」
『か、彼は大学の友人です!わあ〜こんなところでまた会えるなんて嬉しいなぁ…』
慌てて彼の言葉を遮るように苦し紛れの言い訳を取り繕うと、ジンさんはなんだそっかと納得した声を漏らす。
話を遮られたテヒョンは眉をひそめて怪訝そうな顔をしたけれど、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。
「ちなみにジョングクは?」
「…大学時代の先輩後輩です」
「じゃあ3人は同じ大学だったんだ!」
『え、すごーい、偶然…』
ジョングクくんが同じ大学でテヒョンと親しかったなんて初耳だ。
さっきから体中から変な汗が噴き出して止まらない。
結局、私たち3人だけがなんともいえない微妙な空気感のまま取引が始まったのだった。
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のあ - とてもおもしろいです、続き待ってます! (2019年9月11日 7時) (レス) id: 87b0b31a0f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - すごく面白い展開になってて続きが楽しみです! これからも読ませていただきます!! (2019年7月25日 17時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - とてもお気に入りです!! 迷惑かもしれませんが続きお願いします! (2019年7月20日 19時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
たまたま - 三角関係ぽい小説、今まであまり好きじゃなかったけど、このお話は凄く続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 11b0bd599c (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 主人公ちゃん、自惚れちゃっていいんですよね!!!!!?テヒョン、、頑張れ!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: d2b1c04faa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kasu | 作成日時:2019年6月30日 17時