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《 Jungkook 》
その日の仕事終わり、ジミンさんから手に入れたAヌナの住所と連絡先をもとに彼女の住むマンションを訪ねた。
「ここがAヌナの住んでるマンション…」
俺の中の天使ジョングクが言う。
「訪ねる前に連絡した方がいいよ」
悪魔ジョングクが言う。
「無理矢理押し掛けて、テヒョンさんとの仲をぶち壊す方がいい」
俺としてはどちらかというと悪魔に賛成だったが、鍵を持っていないのにマンションのセキュリティを突破することはできないので、消去法で天使の声に従うことにした。
携帯にAヌナの電話番号を打ち込んで、あとは発信ボタンを押すだけ。その時だった。
「あれ?ジョングク?」
ふいに名前を呼ばれて顔を上げると、ある人物がこちらに手を振りながらやってくる。
その人の顔を見て、俺は思わず手に持っていた携帯を取り落としそうになった。
「久しぶりじゃんジョングガ!」
「テ…テヒョンイヒョン…?」
俺の頭をぐしゃぐしゃと撫で回すこの人は、テヒョンイヒョンことキムテヒョンさん。
俺の大学時代の先輩だった。
「どうしてジョングクがここにいるの?」
テヒョンさんが不思議そうに首を傾げる。
それはこっちが聞きたい、と言いたい気持ちをぐっと堪え、咄嗟に当たり障りのない答えを探す。
「あー…その、ここに友達が住んでるんですけど、具合があんまりよくないらしくて、それでちょっと様子を見に…」
「ふーん」
自分から聞いたくせに、たいして興味なさげな生返事。
こういうところは本当に変わっていない。
「ヒョンこそ、どうしてここにいるんですか?」
嫌な予感がする。
だってここはAヌナの住むマンションで、ヌナの彼氏の名前はテヒョンなんだから。
でも、どうかそれが間違っていてほしくて。
しかし、奇跡が起こるにはあまりにも偶然が重なりすぎていた。
「彼女がここに住んでるから」
その瞬間、俺に残されていたわずかな希望はバラバラに砕け散った。
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のあ - とてもおもしろいです、続き待ってます! (2019年9月11日 7時) (レス) id: 87b0b31a0f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - すごく面白い展開になってて続きが楽しみです! これからも読ませていただきます!! (2019年7月25日 17時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - とてもお気に入りです!! 迷惑かもしれませんが続きお願いします! (2019年7月20日 19時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
たまたま - 三角関係ぽい小説、今まであまり好きじゃなかったけど、このお話は凄く続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 11b0bd599c (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 主人公ちゃん、自惚れちゃっていいんですよね!!!!!?テヒョン、、頑張れ!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: d2b1c04faa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kasu | 作成日時:2019年6月30日 17時