韓国人のBoyfriend【JK】2

94話 ページ44

『……大学辞めたのってさ、』




言葉を慎重に選ぶよう、

そう言ったジョングク君の

次の言葉が想像できたから、

私は被せるように、

「何かね、親が辞めて日本に戻ってこいって
うるさくて」
と言った。





｢はは、困っちゃうよね、
後1年ぐらいで卒業だったのに｣




何一つ笑えるとこなんてないのに
乾いた笑い声を出して、
私って痛々しいよね？

ジョングク君は、“そっか”
って言っただけで、全然笑ってないしさ……。








『………韓国いつ戻ってきたの？』




こっちに戻ってきた理由、

ユンギさんのこと、

働いてる場所、

そんな話をジョングク君は
黙って聞いてくれた。







『通訳とかすげぇ、』


「全然だよ。
まだ聞き取れない言葉も沢山あるし、」




未だに釜山弁は苦手だし……





「ジョングク君は仕事、どうしたの？」



『俺は、今もあの焼肉屋にいるよ』



「えっ？そうなの？
就職したって事？」



『あっいや、言ってなかったけど、
俺の叔父さんが経営してた店で、
叔父さんが早めに引退したから、
俺が引き継いでやってる』


「社長って事？すごいね」


『いや、経営の事よく分かんなくてさ、
まだ全然つかえない奴って感じで……』





あのお店にまだジョングク君がいる。

それだけで胸が暖かくなるのは何でだろ。









話してるとあっという間に
寮の前に着いた。




もう会うこともきっとないだろう。


だって、こんな偶然何度も起こるわけない。






「ここなんだ、会社の寮。
ありがとう送ってくれて」





もっと何かかける言葉があったかもしれない。


だけど、上手く言えそうもないから……。





心の中でだけ呟く

“元気でいてね”

なんて
ちょっと切ないかな。

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